2016年8月6日土曜日

夏の白い花ーつるの花2種

 夏休みの体育館から歓声が聞こえるのでのぞいてみました。
”デンタル”(全国歯科学生総合体育大会)の日本拳法部門の会場でした。
松戸歯学部(右)も健闘していました。
主幹校として,3人のマネージャーもアナウンスや記録係として活躍。
そして,真夏の強烈な陽射しが体育館を包みます。
生垣で見た白い花。2種類のつる植物がからみあっています。
手前の三角形の葉と小さな真珠の列のような花をつけているのは
「ヤマノイモ」
ヤマノイモ科  Dioscorea japonica
花の付け根に「むかご」という丸い芋のようなものをつけます。
こちらは「ヘクソカズラ」 
アカネ科  Paederia scandens
ちょっとかわいそうな名前ですが、そんなに臭くはない。
外側の白さが内側の濃い赤紫に強調されます。
筒状の花の内側はこまかい線毛状の突起で満たされています。
二股に分かれためしべが伸びて、おしべの葯は内側面から直に現れています。
それにしても、密集した線毛状の突起の働きは何でしょうか。



2016年7月31日日曜日

鯵(アジ)釣りー東京湾の夏

 梅雨が上がり夏本番,しかし,不安定な天気が続きます。
東京湾のアジ釣りに誘われました。春のシロギス釣りに続いて2度目の海です。
今日の出発は千葉県浦安市猫実です。東西線の浦安橋のたもとに釣り船が出港を待ちます。
この辺りは明治時代(1877年)に蒸気船の発着場がつくられ,昭和時代(1944年)まで東京方面への船の定期便があったため,「蒸気河岸」と呼ばれていたそうです。
浦安橋の開通(1942年)で東京市営バスが通るようになりました。
釣り船屋は「船宿・吉野家」さん。
山本周五郎の小説「青べか物語」の舞台になった”船宿・千本”でした。
売店に立っていたのは4代目・吉野眞太郎さん。
壁にかかっていた写真は「脚立(きゃたつ)釣り」という漁法でした。
遠浅の東京湾で船影に敏感な「アオギス」を獲ったそうです。
浅瀬は埋立てられ汽水域が減少し,アオギスは1962年を最後に東京湾から消えました。
アクアラインを越え,1時間ほどで最初の漁場に到着しました。
午後は天気が崩れるとの予報ですが,今は快晴です。
 仕掛けは金属網のカゴです。この中にコマセ(桶の中で解凍する)と呼ぶ小型のエビ(オキアミなど)を詰めます。カゴの下におもりと釣り針が2本付いています。
今回はイソメではなく,赤く着色したイカを針につけました。
海中でカゴからコマセが撒かれ,寄ってきたアジが赤いイカを口に入れる仕組みです。
おもりが海底に着いて,2mほど釣り糸を巻き上げた深さがアジのかかる水深だそうです。引き上げたり投げ入れたりを繰り返しながら漁を楽しみます。
誘っていただいた平山勝憲先生(左奥)(松戸歯学部解剖学2・非常勤講師),平山雄三先生(東京歯科大・研究員),平山友彦先生(右手前)(松戸歯学部生物学・研究員)には,釣りの指導もしていただきました。
カモメも寄ってきます。のんびりした気分になります。
昼近くから雨雲が発生し,時折激しい雨に見舞われました。
小降りになると再開です。2本の針にアジ(マアジ)がかかりました。大きな収穫です。
水深の浅いところではサバ(マサバ)もかかりますが,夏のサバは味が落ちるうえに痛み易いとのことで放すことにしました。
隣の山本仁先生(東京歯科大教授・組織学)も同じようなテンポで釣上げていました。
15時近くに帰路につきます。船から眺める東京都心。
発達した積乱雲の下面にはゲリラ豪雨を思わせるような黒い帯が見えます。
無事に”蒸気河岸”に戻りました。
同乗の皆さん,お世話になりました。
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今日の収穫。
上:マサバ スズキ目サバ科 Scomber japonicus 1尾だけ持帰り
下:マアジ スズキ目アジ科 Trachurus japonicus 20尾(ご近所にも)
「なめろう」(味噌・ネギ・大葉・ショウガ)と焼き魚でいただきました。

2016年6月18日土曜日

梅雨の夏空に

 冬に向かうオーストラリアから戻ると,梅雨とは思えない好天に戸惑います。
すっかり夏の気配です。
日差しを避けるように,エンドウのような実を付けた
「ハナズオウ」。
マメ科,Cercis chinensis
土曜の昼,炎天下で練習に励みます。
弓道場をのぞいてみました。
後輩を指導する姿がありました。
的を目指す。
先輩も後輩も真剣です。
真っすぐな緊張感。
練習の邪魔をしたようです。
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2016.06.18  21:15,牛久市
薄曇りの南の空に互いに接近した4つの星が見えました。

2016年6月13日月曜日

Kangaroo Island-ー南オーストラリアの自然 その2

アシカ,カンガルー,コアラと野生動物を堪能した後は,西側にある島内最大の保護地域,フリンダース・チェイスFlinders Chase 国立公園に入ります。
この南海岸には奇観といわれる地形があります。
その1つ,リマーカブル・ロック Remarkable Rocks。
岬の突端に取り残されたような岩の塊。朝日や夕日を受けて色を変化させます。
近付くとかなり大きな岩です。
岩肌を拡大すると肉眼でも見える大きさの鉱物でできています。
花崗岩(granite)です。
地下深くでマグマがゆっくりと固まった深成岩です。
黒は角閃石(柱状)や黒雲母(形が不定),白は斜長石,透明がかった灰色は石英。
左の赤い斑紋は「地衣類」です。海岸の岩場という過酷な環境で生活してきました。
Google Map から
上空から見ると,奇岩群はドーム状の隆起のわずかの部分であることがわかります。
地下深くのマグマが上部の地層をドーム状に盛り上げ,マグマが冷えて固まり地表に露出し,表層に亀裂が入り風化して砕け去ったが,一部は辛うじて残り現在の光景があります。
巨岩の中に質の違う岩がはまり込んでいます。
捕獲岩(ゼノリス,Xenolith)です。
マグマの周囲にあった岩石の一部が取込まれ,そのまま岩の一部になったものです。
周りの花崗岩が風化が進むとゼノリスが抜け落ち,穴のような造形が現れます。
5億年前のマグマの上昇に始まる,カンガルー島の壮大な歴史を眺めるようでした。
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リマーカブル・ロックから5kmほど西に移動すると,もう一つの奇観,アドミラル・アーチAdomirals Arch に着きます。カンガルー島の西南端です。
駐車場に横たわるカンガルーの死体。タンマーTammer wallaby かも知れません。
野生動物は手厚く保護されていますが,人間社会との接点では避けられない事故もあるのでしょうか。
駐車場から岬の先まで木道が整備されています。かなりの高低差を降りて行きます。
岬の中腹から海面にかけて,大きなトンネルが開き,眼前に海が飛び込んできます。
外側の硬い岩層に覆われている内側の石灰岩層が長い年月で溶け出し,さらに波に浸食されて大きな空洞が形成されました。
外側から見ると,溶け落ちるように端を伸ばした石灰岩の地層がわかります。
この一帯はニュージーランド・オットセイ
New Zealand Fur-seal ( Long-nosed Fur-seal) Arctocephalus forsteri
の生息地にもなっています。
最近のオーストラリアの記事では,個体数の増加と共に漁業への影響や海鳥の減少も引き起こしているため,間引き等の管理が必要との声も聞かれます。
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日没のフリンダーズ・チェイズ国立公園。(高速で
ペネショウに向かう車窓から)
16時間近い強行軍でしたが,離島に残された南オーストラリアの自然を満喫した一日でした。

Kangaroo Islandー南オーストラリアの自然

 日の出前のアデレードからフルリオ半島(Fleurieu Peninsula)を南下すること3時間。この半島はワインの産地としても有名です。
柵の中央部。目を凝らさないと見えませんが。
丘陵地に拓かれた牧場の外を野生のカンガルーが飛び跳ねる光景も目にします。
バスはカンガルー島へのフェリーが出るケープ・ジェービスに向かいます。
カンガルー島はオーストラリアで3番目に大きな島。人口4,400 人(2011年),東西150km,南北は最大57km,4,400平方キロ(東京都の約2倍)の面積をもち,約3分の1を自然保護地域が占め貴重な生態系が残されています。
フェリーはバックステアズ水路(13.5km)を45分ほどで渡り,島の玄関口にあたるペネショウに接岸します。海岸は大きく褶曲した岩肌が波に洗われています。
ペネショウからの最初の目的地はエミュー・リッジのユーカリ精油所で,工場として残っているのはここだけだそうです。案内されたのはお土産販売所でした。
ユーカリ油の説明を聞きながら,色々なポスターを見回しました。
カンガルー島の8種類の有袋類のうちKI(Kangaroo Island) タマーMacropus eugenii とKIカンガルーMacropus fuliginosus が紹介されていました。この2種はカンガルー島では合法的に間引きされているようです。ガイドブックによればTammer は南オーストラリア本土では絶滅しています。
大きな毛皮の傍にネコによる野生動物の被害が記されていました。
1頭の野生化したネコ(feral cat)胃の中から出てきたのは島固有のトカゲを含む35匹以上の動物でした。
オーストラリア全体では野生ネコの推定は1200万頭で1億頭の野生動物が被害にあい,加えて300万頭のペットネコによって2,500万頭の野生動物が被害に遭っていると記しています。ネコの駆除については大きな社会問題になっています。
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次にSeal Beyシール・ベイを目指します。Sealはアシカやアザラシのことです。
オーストラリア・アザラシAustralian sea lion
シール・ベイはオーストラリア・アザラシ
Australian sea lion  Neophoca cinerea アザラシ科
の繁殖地です。
オーストラリア・アザラシは19世紀にほぼ捕り尽くされ,絶滅危惧種になっています。
現在地球上に生息するのは14,700頭,ここはオーストラリア第3の繁殖地です。
見学者は熟練したガイド(レンジャー)の案内で一団となって行動します。
10m以内に近づくことはできません。
子供のオーストラリア・アシカ。アシカの特徴である小さな耳が見えます。
アシカは前脚で体を支え,陸上も移動します。
通路の近くにいる時は移動するのを待つか,ガイドが迂回路を設定します。
350kgに達する雄の成獣でも陸上を素早く動きます。
ビジター・センター内には全身骨格に加えて毛皮や頭蓋骨,各種データが展示されています。この近くで昼食をとりました。
次に向かったのはハドソン湾保護地区(Hadson Bay Sanctuary)です。
ここではカンガルーとコアラが観察できます。
のどかにくつろぐカンガルー(KI Kangaroo )。
しかし,カメラやスマートホンを持った一団が迫ってくるのは,カンガルーにとってはストレスでしょう。
Koala Walk と呼ばれるユーカリ並木を歩いてコアラを探します。
コアラがどこにいるかわかりますか。
ユーカリの樹冠に近いところまで登っています。
活発なコアラは思ったよりも敏捷に枝を移動していました。
コアラの糞はさらさらと壊れ,ユーカリ油の匂いがしました。
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 カンガルー島のコアラの先祖は,開発と毛皮の取引によって激減した南オーストラリア州の個体数を回復するために隣のヴィクトリア州から1923年にフリンダーズ・チェイス国立公園に移入された個体です。当初は18頭の成獣と数頭の幼獣でしたが,島の環境は順調な個体数の増加をもたらしました。そして,島の生態系の維持のための個体数のコントロールが大きな課題となってきました。