2013年11月25日月曜日

猛禽(もうきん)類,出現

 大学構内にハヤブサの仲間が出現したとの情報が寄せられました。
海老原智康 先生(歯科総合診療学)からの記事と写真を掲載します。
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大学の中庭を歩いていると、上空から「キッ・キッ・キッ・・・」という鋭い声。

空を見上げると、空中の一点に留まり停空飛翔(ホバリング)をするチョウゲンボウ(ハヤブサ目ハヤブサ科)の姿がありました。
11/22, 大学構内
 本種の大きさはハトくらいで、決して大きな身体ではありませんが、ネズミや小鳥、トカゲ、昆虫などを襲って食べる立派な猛禽類です。
 普段は緑の多い江戸川の河川敷周辺で暮らしていますが、餌が捕り難くなる冬季には、獲物を探して大学構内や栄町の住宅地にもやって来ることがあります。
11/22,大学構内
 朝や夕方のうす暗い時間の方が行動が活発になるようで、夕闇の中をひらひらと飛びまわる姿を見ることもあります。
 みなさんも通勤・通学時間にはぜひ空を見上げて、チョウゲンボウの姿を探してみてはいかがでしょうか?」
追加:12/06.江戸川河川敷にて
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 チョウゲンボウ長元坊,Falco tinnunculus)はアジア・ヨーロッパからアフリカにかけて広く分布する小型の猛禽類です。江戸川の河川敷のような開けた生態系が生活を支えていますが,営巣場所がこの近くにあって一年中暮らしている(留鳥)のか冬になって別のところから移動して来たのか,興味のあるところです。

2013年11月14日木曜日

カエルの発生を追う

 脊椎動物の体のできかたを理解するために,カエルの胚を使った実習を2回実施しています。1回目は未受精卵からオタマジャクシまでの発生を10段階に分けた胚で観察します。2回目は2つの発生段階の胚の断面を観察します。
 サンプル瓶からカエル胚を時計皿に移して,細い筆(点付け筆)で動かしながら発生の順序を確認します。
 1つ1つの胚をよく観察しスケッチしていきます。
各発生段階の胚の部位名や特徴を記入していきます。
1回目はここまでです。
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 発生現象の実際を外部形態の変化から理解します。ヒトの発生とは異なる点も多くありますが,将来の学習へのステップになるでしょう。

2013年11月9日土曜日

遺跡と野外実習

 千駄堀の野外実習では縄文時代の竪穴式住居を見学します。
この付近では縄文時代最古の出来山(できやま)遺跡が発掘されており,その後,旧石器時代(1万6000年前まで)の遺物も含むことがわかっています。
 今月,松戸市立博物館で「発掘60年史」が開催されています。
 縄文中期の「中峠(なかびょう)遺跡」(4500年前)から出土した頭蓋骨(3Dプリンタによるレプリカ)が新潟大学から出展されていました。
松戸市の遺跡群(オレンジ色)。松戸駅の西側,本学部がある江戸川流域の地域は海でしたので遺跡はありません。
縄文前期(6000年前)幸田(こうで)貝塚(現在は消滅)の1970年頃の発掘写真。住居祉も多数(160ヶ所)ありました。

 旧石器時代の3万5000年前と推定される,松戸市最古の遺跡「関場遺跡」の石器。
千葉県最古の遺跡は3万8000年前の「草刈遺跡」(千葉県市原市)とされているので,これはかなり古いものです。
          
 石器の材料は長野県(麦草峠,冷山)や栃木県(高原山)などの黒曜石が使われていました。人,物,文化の交流があったと考えられます。
 人間の活動の変化と共に生物との多様なかかわり合いが生まれてきます。野外実習に遺跡の見学が含まれる理由でもあります。



2013年11月2日土曜日

イヌの歯から考えるトリボスフェニック型臼歯

 先月の実習で哺乳類の歯を比較しました。
 イヌは身近な哺乳類ですが,日常では歯を見る機会は少ないようです。
動物センターにあるビーグル犬の歯を見てみましょう。
歯式は3・1・4・2/3・1・4・3=42。哺乳類の基本歯式に近い。
(I:切歯,C:犬歯,P:小臼歯,M:大臼歯)
右側上顎第一大臼歯と第四小臼歯の咬頭。
(pr:プロトコーン,pa:パラコーン,me:メタコーン,hyハイポコーン,pal:パラコニュール,mel:メタコニュール,trb:トリゴンベイスン,tab:タロンベイスン)
左側下顎第一大臼歯(舌側から)。
(prd:プロトコニッド,pad:パラコニッド,med:メタコニッド,hydハイポコニッド,end:エンドコニッド)
頬側から咬合をみると。
上顎P4のpa--meのつくる鋭い稜と下顎M1のpad--prdの稜はすれ違うように肉を切り裂きます。一方,上顎M1の中央のくぼみ(trb)に下顎M1のhydがはまり込むように食物をつぶします。
舌側から見ると,上顎M1の舌側よりのくぼみ(tab)に下顎M1のendがはまり込むのがわかります。(medは上顎のprの側面とすれ違って肉を押さえる働きのようにも見える)
イヌの仲間は食肉類としての歯の特徴を進化させてきましたが,それでもなお,多様性の元となった切断とすりつぶしの機能を持つ”トリボスフェニック型臼歯”のしくみが見て取れます。