2015年7月31日金曜日

記憶をのぞくー松戸自主夜間中学

 松戸自主夜間中学での今月のテーマは「記憶をのぞく」でした。
2011年6月から始めた「理科:人体をのぞくシリーズ」も,気が付けば40回になりました。
授業のテーマは生徒さんが希望したものにします。
難しい要望もあり,ストーリーを工夫します。
授業では,必ず顕微鏡観察か実物を見る時間をつくります。
組織学実習標本から
今日は「記憶」がテーマで,脳のつくりを中心に考えます。
顕微鏡では小脳のプルキンエ細胞を見てもらいました。
人体でも大型で最もきれいな細胞のひとつです。
この細胞は技術やルール等の「手続き記憶」
(自転車乗りやギターの演奏など’体で覚える記憶)に関わっています。
 毎回授業に参加する”常連”の生徒さんもいます。
高齢の生徒さんからは珍しいお話を聞くことができます。
質問や対話での60分の授業は私にとっても楽しく勉強できる時間です。
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 松戸自主夜間中学は松戸市勤労会館で週2回開かれています。

主体は「松戸市に夜間中学校をつくる市民の会」の皆さんで,ボランティアのスタッフが個別授業と一斉授業を担当しています。
 1983年に市民が集まってつくられたこの会は,さまざまな理由で義務教育を受けられなかった人、義務教育を修了したが十分教育をうけられなかった人、あるいは義務教育を必要とする人たちの学習する権利を保障するために、公立夜間中学校(昼間中学校の二部授業としての夜間学級)をつくるために活動をつづけています。

2015年7月28日火曜日

炎天下の哺乳類

 連日の記録的な猛暑。真昼のグランドに出てみました。
アメフト部が練習中。
陸上部。部員の6割が練習に参加。
練習を終えたアーチェリー部。
オール・デンタル(全日本歯科学生総合体育大会)への出発準備。
生け垣の下で涼む。
邪魔したみたいです。
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 今年は太平洋の「エルニーニョ現象」で冷夏が予想されていました。
しかし,この暑さ。
「太平洋高気圧」と「チベット高気圧」の二階建て構造や
「ダイポール・モード現象」というインド洋熱帯域の海水温度差による気象変動など地球規模の観点から,都市化に伴う「ヒート・アイランド現象」などの人間の生活様式にまで及んで,天気予報の解説も多彩です。

2015年7月26日日曜日

シロギス釣りー東京湾

 水族館は好きですが,これまで釣りの経験はありません。
解剖学第2講座の平山勝憲先生(非常勤講師)から海釣りに誘っていただきました。
日曜の早朝は,すでに真夏の日差し。
7時半,船橋市高瀬から東京湾に乗り出します。
船長から竿の扱いや「仕掛け」の取り付け,餌の付け方の講習を受けます。
穏やかな東京湾を南下する途中,大型のタンカーに何回も出会いました。
出港して約40分,釣り場は東京湾アクアラインのすぐそば,
「盤洲(ばんず)沖」と呼ばれる場所です。
(地理院地図を改変)
千葉県・木更津付近で海に注ぐ
小櫃(おびつ)川は広大な「盤洲干潟(ひがた)」をつくります(赤→)。
盤洲沖の水深は20〜30mですが,干潟からの砂質の浅瀬が釣り場です。
海面の細いひもは枯れたアマモのように見えます。
水深数mの砂泥質に繁茂するアマモはワカメやコンブとは違って種子植物です。
単子葉植物 イバラモ目 アマモ科 Zostera marina
餌は環形動物(ミミズの仲間)のゴカイ。
多毛綱 ゴカイ科  Hediste sp .
3cm位の長さにして針につけます。
「天秤(てんびん)」と呼ぶ仕掛けで海底に錘(おもり)を落とし,それをリールでゆっくり引揚げると,動くゴカイに魚が食いつくしくみ。それをくり返します。
ググッと引っぱられるような手応え・「当たり」が伝わりました(「魚信(ぎょしん)」とも)。あわててリールを巻くと,跳ね上がってきたのはスマートな姿の体長15cmほどの「シロギス」です。 海釣り第1号。
細かい鱗(うろこ)が背側のやや黄色に見える褐色から腹側に向かって銀色に変わります。
スズキ目 キス科 キス属 Sillago japonica (学名に日本がついている)
大きなシロギスは25cmほどありました。
時々釣れる「ヒイラギ」。名前の通り葉のように扁平でヒレが鋭く尖り,手を切りそうです。
褐色の鎖のような模様があり,鱗がなくヌルヌルしています。口が二重になっていて内側からも口唇のように突き出します。
スズキ目 ヒイラギ科 ヒイラギ属 Nuchequula nuchalis
胴(頭のように見えるが内臓が入っている)が5cmくらいの「イイダコ」の表と裏。
雌雄を見分ける交接腕の区別はつきませんでした。
軟体動物 頭足綱 マダコ科 ダコ目 マダコ属 Octopus ocellatus
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今日の漁はシロギス25匹,ヒイラギ5匹,イイダコ1匹でした。
東京湾の6時間,釣りも海も満喫しました。
折々に表情を変える水面と複雑に歴史が刻まれた海底との間ある生きもの達の多様な世界。
一本の竿と糸を通じてその入口に触れたような気がしました。
(今度は料理にもチャレンジして美味しくいただきます。)
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写真の餌は「アオイソメ」とのご指摘がありました。(7/29)

2015年7月25日土曜日

ひらめき☆ときめき サイエンス

 科研費による研究成果を社会に還元する事業のうち,中学生・高校生の皆さんに直に見て触れることで科学のおもしろさを感じてもらうプログラムを実施しました。
テーマは『知ってますか?歯の構造と機能』。
『現生と化石哺乳類をつなぐ,エナメル質組織発生における比較解剖学的研究』(鈴木久仁博:課題番号No.20592154)をベースに様々な動物の歯にふれ,光学顕微鏡と電子顕微鏡で歯の断面を観察し,ヒトの歯型を作製して計測し,実際に歯(ウシ)を削って歯の硬さや質感を体験します。
歯科での実施は少ないので,松戸歯学部らしい特徴あるプログラムを考えました。
午前中は講義の時間です。
「歯の分化過程とヒトの歯の特徴を考える―歯の多様性と組織構造から―」と「歯の大きさと形はどのように決まるのか?」。
講義に合わせて,様々な動物の頭蓋骨や歯を当てるクイズも入れました。
学生食堂での会食では若いドクターを含めた教員との交流。

食後に病院を見学し説明を受けました。
診療室では正しいブラッシング指導を受けます。
午後の実習のために印象を採りました。
午後はまず光学顕微鏡を使ったエナメル質の観察実習。
成長線から歯のでき方(咬頭の形成)を考えます。
その後,走査型電子顕微鏡でエナメル質の微細構造を観察します。
サンプルを動かしピントを合わせ撮影をしました。
待ち時間に透過型電子顕微鏡で細胞の内部を観察。
臨床系の実習室に移動し,まず自分の歯型を計測します。
ノギスの使い方をインストラクターに教えてもらいます。
いよいよウシの歯を切削します。もちろんタービンは初めて。
インストラクターの先生方も緊張します。
付き添いのお母さんからも様々な質問がされました。
参加者は中学生と高校生を合わせて12名。
最後まで興味を持って集中していた姿が印象的です。
(講師の紹介:前列左から,西山典宏(歯科生体材料学),鈴木久仁博(生物学)。後列左から,若見昌信(クラウンブリッジ補綴学),楠瀬隆生(生物学),會田雅啓(クラウンブリッジ補綴学),近藤信太郎(解剖学I))
終わりに「未来博士号」の賞状を授与し,プログラムの幕を閉じました。
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今回の企画は,研究成果の社会還元にあたって,基礎と臨床の横断的な取組みがなされたことにも意味がある思います。参加者に歯科の領域を知っていただき,一方,若く新鮮な「熱」に触れたことは私達にとっても大きな収穫でした。
実習でお世話になりました先生方,ブラッシング指導に当たられた衛生士さん,連絡・調整・印刷等,様々な準備で支えていただいた研究事務課の皆さんに感謝いたします。

2015年7月24日金曜日

カミキリムシ 2題

昆虫採集が思い出される季節です。
海老原 智康先生(歯科総合診療学講座)から「カミキリムシ」の情報が2題寄せられました。
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【クロカミキリ】
日時:平成27年6月20日(土)、AM8:25
場所:駐輪場付近
 強大な大顎に太く短い触角と四肢。まるでクワガタムシのような姿をした種類です。
手に持つとすぐに噛み付こうとするのもクワガタムシの習性とよく似ています。
成虫は夜行性で、ときに外灯の光に集まることがあります。
 幼虫が針葉樹の幹(材)を食べるため、県内では沿岸沿いの松林に広く分布しているようです。しかし、内陸では針葉樹林が少ないためか、あまり見かけることは無く、こと松戸市内においては、ほとんど観察例が無いのでは?と思います。
 また、近年本種は全国的に個体数が減少している(原因不明)といわれており、今回の記録は大変貴重なものではないかと考えています。
(写真は採集後に室内で撮影したもの。)
クロカミキリの発見場所(駐輪場)
クロカミキリ Spondylis buprestoides
甲虫目 カミキリムシ科
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【キボシカミキリ】
日時:平成27年7月24日(金)、PM2:25
場所:校舎棟2階・旧病棟への連絡通路
 体中に散りばめられた黄色い斑点が美しいカミキリムシです。
 幼虫はクワやイチジクの幹(材)を好むため、畑など農耕地周辺に多く生息しています。大学周辺でも毎年発生している場所がありますが、構内で姿を見つけたのは初めてのことです。発見当日は風が強く吹いていたため、近隣地域から風に乗って運ばれて来たのかも知れません。
 外側に回ることのできないガラス窓に止まっていたため、採集は叶いませんでしたが、何とか写真に収めることはできました。(背面の様子が分かりにくいため、参考として6月28日の『千駄堀観察会』で撮影した別個体の写真を載せます。)
キボシカミキリの発見場所
キボシカミキリ Psacothea hilarious
甲虫目 カミキリムシ科
                 (以上)
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 触角の短いクロカミキリと,体長の2倍以上もある触角を持つキボシカミキリの取合せが面白いですね。
  カミキリムシの幼虫は幹に孔をあけてしまうこともあり(鉄砲虫とも呼ばれる),養蚕や果樹園などでは害虫にされているものも少なくありません。
「甲虫の世界」ハーバード大学自然史博物館にて(2015/03/12)



2015年7月17日金曜日

ワニの棲む丘ー大阪大学総合学術博物館

 台風11号が関西を直撃する中,大阪大学の豊中キャンパスに向かいました。
迎えてくれるのは「マチカネワニ」。
世界的にも貴重な,国の登録記念物です。
1965年,理学部校舎を建築中に発見されました。
全長約7m,頭骨だけでも1mを超える特大のワニです。
復元模型も迫力があります。
産出した大阪層群は45万年前の地層。
ヒシやハスが繁茂する温暖湿潤な環境でした。
トウヨウゾウやヤベオオツノジカも生息していました。
一般にワニの背中の骨鱗には隆起がありますが,
マチカネワニにはそれがないのも特徴です
Toyotamaphimeia machikanensis
(クロコダイル科トミストマ亜科の新属新種)
豊玉姫(トヨタマヒメ:古事記にでてくるワニの化身)にちなみます。
下顎の後方に突出した後関節突起の形態と上顎の7番目の歯が最大(一般的なワニ(正顎類)では4~5番目が最大)あることが特徴とされています。
実物は3階の展示室にあります。*許可が得られれば掲載します。
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「ナウマンゾウ臼歯の病理的標本」と呼ばれる標本です。
共同研究の西岡祐一郎先生に見せて頂きました。
下顎第二大臼歯と第三大臼歯(下の長い部分)との癒合歯です。
(実物とポスターとを合わせて写真にしました)
横なぐりの雨の中,待兼山(マチカネヤマ)から学生たちが帰っていきます。