2014年4月27日日曜日

野外実習・2014年第1回

 4月27日(日)千駄堀の朝。今年の実習の開始です。
「二十一世紀の森と広場」として大きく変えられましたが,都市に残された自然を体感する良い機会です。
公園中央口。学部生・衛専校生,合わせて50名が参加。
さっそく,アリジゴクを探す。
協力をお願いしている「千駄堀を守る会」のスタッフは20〜30年間ここを歩いてきた専門家です。丁寧な説明がうれしい。
 「マシジミ」を見ながら淡水性貝類の説明をきく。
あざやかな脱皮直後の「ヨコズナサシガメ」。
クモの観察に30分以上かけた学生もいました。
高校生のスタッフから「オトシブミ」の説明をきく。
野鳥の生態について多くの質問がでました。
縄文時代の竪穴(たてあな)住居の中で。
千駄堀の歴史的な側面を考えます。
 
まとめの会で熱心にノートをとる。
初めて耳にする生きものの名前が飛び交う。じかに観察した生きものを頭に刻みます。
強い日差しの正午,集合写真を撮って解散しました。
・・・・・・・・・・
<付録>

「ニホンヤモリ」。尾がちぎれているのは「自切」の可能性もあります。
・・・・・・・・・・・・
教養系の楠瀬先生,診断学の海老原先生にもインストラクター(実習の指導・助言)として来ていただきました。
私は,実習スタッフとして活躍してくれる学生が育つことを楽しみにしています。



2014年4月24日木曜日

車窓から鳥を探すーネイチャーセミナー4−

 今回は疋田拓史先生(歯科矯正学・大学院3年生)が,次の列車の通過を待つ間に撮りためた自然の記録の中から鳥を中心にスライドを編集し,熱く語ってくれました。
子供の頃から昆虫などにも興味を持ち,観察眼も養ってきました。
一部を紹介します。
 オオバン。ありそうで少ない正面からの写真。(都内の公園で)
 クイナ。大変警戒心が強く,これは貴重な写真です。松戸歯学部の近くです。
 メジロ。雰囲気が伝わってきます。
 トビ。新潟県高田市で撮影。
小型のキツツキの仲間, コゲラが虫を引出して食べている一部始終を撮影。
珍しい写真です。
鉄道の写真は圧巻。島根の海岸線をめぐる山陰本線。
撮影は天気にも左右され,場所を見つけるのも体力勝負とか。
 レポーターの疋田先生(前列右から2人目)。となりは衛専校生の海老原さん。
学生の米長さん。これからどんな話題が出てくるのか,楽しみです。

2014年4月8日火曜日

桜につどう鳥たち


春,真っ盛り。サクラに集まる鳥たちの動きのある写真が届きました。
海老原智康先生(歯科総合診療学)からの投稿を紹介します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 桜(ソメイヨシノ)は葉が出る前に花を付ける面白い植物です(品種によっては葉が先に出るものもあります)。満開になると木全体が薄桃色に包まれて大変鮮やかになります。
開花期間は12週間程度と短いですが、一度にたくさんの花を付けるため、花の蜜を餌にする生き物たちにとってはありがたい存在のようです。
大学の中庭の桜の木にも、花の蜜を好む野鳥たちが集まってきます。
桜の木を訪れる鳥の中で、特に目立つのがヒヨドリ/Hypsipetes amaurotis(スズメ目ヒヨドリ科)です。
大きさはハトよりやや小型でスマートな体型をしていて、「ピィーヨ、ピィーヨ」と甲高い声で鳴くため、すぐに存在に気が付きます。
ヒヨドリの嘴は細長く、細やかな動きをするのに適した形をしています。
そのため、小さな桜の花の上からでも器用に嘴を差し入れて、奥にある蜜を吸い取ることが出来ます。
 桜の蜜がよほど好物なのか、時には長時間滞在して、他の鳥が近づくと追い払ってしまうこともあります。
  また、桜の木でよく見られる鳥にスズメ/Passer montanus(スズメ目スズメ科)がいます。

スズメは普段は草の種子や穀類を食べていますが、桜の開花の時期には蜜を求めて花に集まります。ところが、スズメの嘴はヒヨドリと違って細長くないため、花の上から中の蜜を吸うことは出来ません。

花を切る瞬間 連続写真
そこで彼らは、花の付け根の蜜が溜まっている部分を嘴で引きちぎり、切り口から中の蜜を吸い出すのです。
 スズメが集まっている木の下には、吸い殻となったたくさんの花が落ちている光景が見られます。

【撮影データ】
平成2641日(火)
大学構内・中庭、学食前の桜の木にて

2014年4月5日土曜日

ツクシ誰の子

春も本番になりました。ツクシも伸び上がって新入生を待っているようです。

ツクシはシダ植物トクサ科の「スギナ」の胞子をつくる生殖器官(胞子体)です。
Equisetum arvense L.
「はかま」と呼ばれる筒状のものは「葉」です。
ツクシは光合成をする本体(栄養体)のスギナより目立ちますが,胞子を飛ばすと枯れていきます。
スギナとツクシは地下茎(根ではない)でつながっています。
地下茎から新しい個体をつくる(栄養体生殖)能力が高いので雑草として嫌われることもあります。
 
ツクシの六角形のタイルの下には胞子嚢があって,緑色をした胞子を大量に抱えています。
 4本の「弾糸」というバネのような線維がはじけ,胞子が飛び出します。
・・・・・・・・・・・・・・・
 シダ植物では胞子が発芽すると「前葉体」と呼ぶ「配偶子」をつくる体をつくりますが,スギナの前葉体はどんな形でしょう。次のシーズンに探してみましょう。
胞子を放出し終わったツクシ。




2014年4月1日火曜日

スズメの羽を学ぶ

 海老原智康先生(歯科総合診療学)からの投稿です。
3月のNature Seminar で鳥の羽が配られ,何の鳥か当ててみようというクイズがありました。
その解答でもあります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 大学構内の駐輪場付近を歩いていて、足元に鳥の羽が落ちているのを見つけました。
辺りを見回すと羽はあちこちに散らばっていて、集めてみると全部で30枚ほどありました。
通常野外において、1カ所でこれだけ多くの鳥の羽を拾う機会は滅多にありません。
羽の特徴から落とし主はスズメのようで、拾った羽をよく見ると、所々に血が付いていたり、軸が折れているのが見受けられることから、何らかの事故に遭遇した可能性があると考えられました。これは想像ですが、弱ったスズメがカラスやネコなどの肉食動物に襲われたのかも知れません。
せっかくの機会ですので、集めた羽を綺麗に洗い乾燥標本にしました。
実際に手にとって細部を観察すると、部位ごとの特徴がよくわかり勉強になります。

【スズメ/Passer montanus (スズメ目スズメ科)】
今回拾得した羽の部位を①~④に示します。

【① 初列風切(しょれつかざきり)】
【② 次列風切(じれつかぜきり)】
①②は、翼の最も外側に位置し、推進力を得るという飛行にとって重要な役割を果たす羽です。
【写真③ 体羽(たいう)】
身体全体に生えている比較的短い羽で、綿毛状の綿羽の割合が多いのが特徴です。
【写真④ 尾羽(おばね)】
<撮影データ>
日時:平成24年1月23日(木)
場所:学内駐輪場付近