2014年6月26日木曜日

赤いごちそう

この時期を待って,鳥たちが集まる木があります。
赤い実が見えます。
ムクドリSturnus sineraceus(スズメ目ムクドリ科)
が群れをなして来ていました。
実をくわえては飛び立ちます。
ヤマモモ。
Myrica rubura(ヤマモモ科ヤマモモ属)
4月頃,花粉を飛ばす花(雄)と受ける花(雌)が別々の木で開花する,雌雄異株の常緑樹です。
落ちた実も,もちろんごちそうです。
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ヤマモモは関東以南の温暖な気候を好み,細菌(放線菌)と共生し,根から空気中の窒素を利用できます(窒素固定)。
そのため養分の少ない荒れ地にも強く街路樹などにも利用されています。

2014年6月22日日曜日

梅雨の野外実習・千駄堀

雨の実習は珍しいことです。良い経験になります。
20数名が参加しました。
雨の中でもすがすがしいネムノキ(合歓木)
マメ科Albizia julibrissin
アカボシゴマダラ
タテハチョウ科 Hestina assimilis
エノキの幼木で。背中の中央に突起が目立つ。南方系の蝶ですが近年は普通に見られます。人為的に放たれ広まったともいわれる,要注意外来種。
カバキコマチグモ
フクログモ科 Chiracanthium japonicum
葉を巻いた産室に卵が見える。母グモは2回目の脱皮をした子グモの食料になります。(写真提供:成田智子)<毒があるので取り扱い注意>
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雨の中,良い実習ができたと思います。
千駄堀を守る会の皆さま,ありがとうございました。


2014年6月17日火曜日

梅雨の晴れ間に-ネジバナ-

ピンク色の小さな花が芝地の中に目立ってきました。
らせん状に花をつけた「ネジバナ」です。
ラン科 Spiranthes sinensis var. amoena
右巻きも左巻きもあります。色も濃いピンクから白まで。

花弁(花びら)3枚(赤→)とがくが3枚(黒→)がランの花の基本です。
花弁のうち唇弁は大きく,色や模様が違っています。

ネジバナの根は太く短く,側根や根毛が目立ちません。
拡大すると,根毛(表皮からの突起)はなく,細い糸状の菌糸がみられます。
「菌根菌」とよばれる菌類と共生した「菌根」というしくみで水分や養分の代謝をしていると考えられています。

洗って土を落としてみると,単純な細い大根のようです。
表面に菌糸が絡み付いていますが,多くはありません。
根の断端をみると,根毛が出ていないことがわかります。根自身からの吸収は弱いでしょう。
根の先端です。ここにも特別の構造はありません。
ネジバナの生活は菌との共生が条件になっているようです。
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ネジバナは園芸用としても栽培されています。
単独で植えることは難しく,菌根菌を介した他の植物との地中でのネットワークが必要なのだろうと考える研究者もいます。