2015年10月30日金曜日

ハクビシンー解体始まる

「生命の文化誌」は生物学の実験・実習が主体です。
骨格標本作製班(4名)が,動物遺体の確保に関する学習期間を終えていよいよ作業を開始しました。
材料は「ハクビシン」。
Paguma lavata
食肉目 ジャコウネコ科
入念に計測し,解剖の手順を決めていきます。
楠瀬隆生先生が猟師の方にお願いして入手したものです。
作物や住居への被害のため駆除された個体です。
皮はぎからはじめます。
顔の額から鼻先にかけて白い条みがえます。
白鼻心(はくびしん)の名の由来です。
きれいに剥離できました。
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来年2月,制作過程や得られた知見を教室でプレゼンテーションします。
今日はここまでとして,準備室でのひととき。
骨格標本の完成まで地味な作業が続きます。

2015年10月25日日曜日

松戸祭 2015 ークモも歓迎

 今年の松戸祭は好天に恵まれました。
出店が並ぶメインストリート。
クモの網が来客を待っています。管状住居のトンネルが見えます。
家主を見つけました。
「コクサグモ」
Allagelena opulenta タナグモ科
小型のクモで頭胸部に白い条の入った褐色の帯があります。
夏から秋にかけて,生け垣に普通にいます。
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松戸祭の期間中に電子顕微鏡室も公開されます。
各種の研究と細胞診の業務に使用され,通常は入室が制限されています。
電顕委員の案内で,
走査型(上)・透過型(下)の電顕を操作することもできます。

2015年10月17日土曜日

解剖体追悼法要 H27年度 

 松戸歯学部・歯学部合同の解剖体追悼法要が行われました。
築地本願寺に両学部の2年次生が集まります。
始まったばかりですが,解剖実習の意味を改めて考えます。
導師の読経と奏楽の中,献体された皆様に一人ひとり焼香をしていきます。
この世で絶対と言えるものは「死」であり「生」を受けたものは必ず迎えなければならない,との法話をいただきました。
 最後に松戸歯学部の解剖学講座が代表して挨拶し,ご遺族をお見送りして法要が終わりました。
参列した学生の心に残ったものが,この先に生かされることでしょう。
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築地からの帰路。銀座三丁目の週末。
いつものにぎやかな営みです。

2015年10月2日金曜日

ナイト・ミュージアム 進化を探る

 金曜日の夜,上野の科博はペアチケット(1人千円)がお得です。
今回の特別展「生命の大躍進ー脊椎動物のたどった道」の内容は豊富です。
一部を紹介しましょう。
37億年前のグリーンランドの岩石。
同位体比から,含まれる炭素が生物由来とされています。
ストロマトライト,27億年前のオーストラリアから産出。
エディアカラ生物群,現生にはつながらない多様な化石で構成されています。
6億年前の先カンブリア紀のデッキンソニア。
バージェス生物群の大型捕食動物アロマカリス(5億8000万年前)。
現在につながる動物が大量に出現した「カンブリア大爆発」の代表でもある。
アロマカリスの復元模型。
脊椎動物(哺乳類の祖先にもなる)に近い仲間も出現していたことに驚く。
胴に沿って筋節が並ぶ,
ピカイア(上:脊索動物)とメタスプリッギナ(下:脊椎動物)。
デボン紀(3億8000年前)の三葉虫。複眼がはっきりわかる。
光スイッチ説に思いをめぐらせる。
1年生の五百木君,臼田君,大嶽君,久米君が途中から一緒になりました。
狙っているのは下の写真。
3,500万年前のネコの仲間,ディニクチス。
上顎臼歯の舌側に咬頭が見られ(矢印),イヌ的な要素が感じられる。
有胎盤類の最古の化石とされるジュラマイア(Juramaia sinensis)。
体長12センチほど。歯式は 5・1・5・3 / 4・1・5・3= 54。
恐竜も出現していた1億6000万年ほど前(ジュラ紀)にすでに生息していた。
2013年に日本で発見された最古の有胎盤類。
白亜紀前期(1億1200万年前)。
ササヤマミロス(Sasayamamylos kawaii)。
2.5cmの下顎のみだが,有胎盤類の基本歯式をもつ。
展示の終盤はヒトの進化。
臼田君はラエトリのアファール猿人の足跡と比べてみる。
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実物標本の持つ迫力は違う。
機会をとらえて,見ることを勧めます。
カメラの電池切れの後,途中から写真を撮ってくれた久米君に感謝します。

2015年9月28日月曜日

カメはいかがですかーネイチャーセミナー12

 ハ虫類への関心が高いことから,カメを取り上げてみました。
レポーターは5年次生の黒崎盛和さん。
自宅でカメを飼育し,最近産卵もあり経過観察中です。
カメに対するイメージを導入に,体験に基づいた話が進みます。
カメの魅力はどこにあるのか。
甲羅をもった姿がそのひとつでしょう。
日本大学生物資源科学部博物館所蔵
カメの甲羅は中央に背骨があり肋骨が広がって接触した板状の骨が基本です。
そして,四肢は肋骨に覆われた甲羅の中から伸びます。
多くの四足動物の腕は肩甲骨に付いて,肋骨の外にあります。
従って,カメは腕を動かす筋の付きかたも異なります。
長い進化の中でスローと頑丈を貫いてきた,
カメの偉大さを満喫するセミナーでした。

2015年9月27日日曜日

秋の千駄堀ー野外学習

 雨が心配されましたが,参加者30名で秋の千駄堀を歩きました。
今回の主役は「ジョロウグモ」。あちこちで目につきます。
大きいクモと小さいクモが一緒にいることが多い。小さいのは雄。
命がけのラブ・シーンなのです。
ジョロウグモ科 ジョロウグモ Nephila clavata
パークセンターでおそるおそる触っているのは....
側面の目玉模様と後のアンテナ。大食漢です。
「セスジスズメ」の幼虫。成虫は「ガ(蛾)」ですがどんな姿でしょう。
スズメガ科 セスジスズメ Theretra oldenlandiae
今度は何かな?
「アケビコノハ」の幼虫です。
これも大型の蛾になります。成虫の擬態はなかなか素晴らしい。(検索してみてください)
ヤガ科 アケビコノハ Eudocima tyrannus
野鳥観察コーナーでは「カワセミ」が見つかりました。
(良い写真を提供してください)
観察舎の解説員の方々のご配慮で,今回初めて湿地の観察ができました。
木道に沿って奥に入ります。
ヨシとガマの群落に多種のタデ科植物やハンノキ等の湿生樹木が観察されました。
時間と人数を限れば学習プログラムに入れることができそうです。
千駄堀の台地にある縄文時代の竪穴住居に入ります。
中央の「炉(ろ)」(石組み炉)でいぶされる煙は無意味ではない。
思ったより広い。30人全員収容。
解説を聞き当時の生活に思いをはせる。
博物館見学は時間の都合から自由とし,まとめの会のあと解散しました。

2015年9月26日土曜日

幼虫が有名ですがーアリジゴク

今日は衛生士専門学校の「戴帽式」でした。最も大切な行事です。
大きな節目を迎えられ,これからの成長が期待されます。
式の後,玄関ホールで写真を撮りなごやかに談笑する姿がありました。
校舎の壁にひらっと貼付いた昆虫を見つけました。
腹部より大きな透き通った羽。
細長い触角。緑に輝く眼。
腹部の段々の模様。羽にはシミのような褐色の斑紋があります。
海老原智康先生(総合診断学講座)が
「ホシウスバカゲロウ」と同定しました。
Paraglenurus japonicus
アミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科
幼虫は「アリジゴク」と呼ばれる独特の形をしています。
千駄堀の野外実習で東屋の軒下などで目にする「アリジゴク」。
しかし,ホシウスバカゲロウの幼虫はすり鉢形の巣を作りません。
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アリジゴクの世界はまだ分かっていないことが多いようです。
調べてみたら面白いかも。