2014年1月28日火曜日

肉食系の顎をのぞく

イヌを例に食肉類の顎をのぞいてみましょう。
頭蓋骨の左側面。
頬骨弓(紫矢印)の強い張出しと下顎骨側面の大きな凹み(咬筋窩:星印),頭頂に矢状稜(緑矢印)が張出して,顎の筋肉が強大なことが想像されます。
下顎骨の後端は角突起(赤矢頭)が発達しています。水色矢印は顎関節の位置。
顎関節(赤矢頭)では,下顎頭が下顎窩の腹面の突起で支えられるように入り込みます。外耳道の位置を水色矢頭で示しています。

顎関節を分離し関節面をみると,細長い棒状の下顎頭(緑矢印)は下顎窩(赤矢頭)に入り込み近位部は関節後突起(紫矢印)で下から支えられます。強く咬み込んでも外れません。下顎を左右に動かすのは難しいでしょう。外耳道の位置が水色矢頭で示されています。
拡大すると耳の中に縦長の骨(青矢印)が見えます。
耳小骨の「ツチ(槌)骨」の「柄」にあたる部分です。
関節後突起(紫矢頭)と関節後孔(血管を通す:緑矢印)を示します。
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食肉類は下顎を上下に動かす強い筋に対応したの顎関節の形態を持っています。
なじみの深いイヌとネコの違いはどうでしょうか。
顎の進化では耳小骨の成立ちが話題になります(時代と共に顎の骨が耳の中に移ってくるストーリー)。この位置関係からどのような説明ができるのでしょうか。


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