2013年9月5日木曜日

巨木がダニを飼う

 構内には何本も大きな木があります。そこでも多彩な生き物関係が成り立っています。
たとえば、
クスノキの大木です。
Cinnamomum camphora
クスノキ科ニッケイ属の常緑高木
枯れ葉:葉身の長さ10cm
葉脈が葉の付け根で3本に分岐しています。この分岐部に膨らみをつくって生き物を”飼って”いるのです。
 膨らみは「ダニ室」と呼ばれ,クスノキがダニのために作った部屋です。虫がつくる「虫えい」(虫こぶ)ではありません。中のダニはクスノキと共生していると考えられています。

断面をのぞいてみると確かに白い虫が動いています。
フシダニです。体長0.1−0.3mm,植物につくダニです。
クスノキは樟脳(しょうのう)の天然原料でもあります。
虫除けの葉に虫を飼う?なぜ?
対物40倍 2013.09.05 Kunihiro Suzuki
ダニ目フシダニ科Eriophyidae   
顕微鏡でのぞくと,2対の脚(他のダニは4対)を持つことがわかります。中央の丸い部分は生殖器でしょうか。未受精卵からは雄のみが,受精卵からは雄も雌も生まれます。

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 イタリアのドロミーティ山脈で2億3000万年前の琥珀(こはく:樹脂が化石になったもの)の中から見つかったダニ(Triasacarus fedeleiAmpezzoa triassicaは現生のフシダニに非常に近かった(ナショナルジグラフィック 2012.8)。しかしこの時代にクスノキのような顕花植物は地上にはありませんでした

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