2016年10月29日土曜日

解剖体法要ー2016年度

 日本大学松戸歯学部・歯学部合同の解剖体法要が築地本願寺でとり行われました。
本年度(2015年10月から2016年9月まで)は46名の尊いご献体があり,解剖学の礎(いしずえ)となられました。ご冥福をお祈りいたします。
ご遺族ならびに教職員の焼香の後,両学部学生代表が焼香します。(写真は松戸歯学部の学生代表)。
読経の中,両学部学生(2年次生)の焼香が続きます。
講話をいただき(写真),続いて歯学部解剖学講座から挨拶があり実習の様子も話されました。
解剖実習は既に10月から始められています。
今日を転機にさらなる勉強に励まれますように。
(私の解剖体法要への参列は今回で終わります。
感謝いたします。)
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築地から銀座へ。地下鉄銀座駅の出口は海面から4mの高さ。一瞬,足元から不安が登ってきました。
銀座は週末のにぎわい。
今年は”ハロウィン”があちこちで話題になっています。

2016年9月25日日曜日

野外学習・千駄堀ーマムシに出会う

雨続きの9月,千駄堀も心配でした。
雲は多かったものの,雨はありませんでした。
万貫田の奥,湧水付近で。
谷津の地形(台地と低地)の成り立ちを確認し,クモの団居(まどい)を観察しました。
自然観察園の湿地を見学。今回は昆虫担当・佐々木さんに案内していただきました。
季節の虫を選んでは触らせてくれます。
クモや昆虫の説明を聞いています。
学生(左の2人)が「ヘビが動いている」と指さしました。
その先にいたのはまだら模様の「マムシ」です。
ゆっくりと体をくねらせて進みます。
夜行性ですが,木道に響く足音などで出てきたのかも知れません。
間近で見れるように,佐々木さんに網で捕らえてもらいました。
体長は60cm以上,細めに見えましたが成獣個体です。
独特の粗いまだら模様の鱗で被われています。
千駄堀では25年ほど前に目撃して以来です。
観察舎に戻り,水槽に入りました。
脊索動物門 爬虫綱 有鱗目 クサリヘビ科 
マムシ属  
ニホンマムシ (一般に「マムシ」)
Gloydius blomhoffii 

赤外線センサーの「ピット器官」で小動物の体温を感知し,暗闇でも捕食できます。0.1°Cの温度差も識別すると言われ,正確な赤外線画像を見ている可能性があります。(青矢印は鼻孔)
上下の牙が,毒腺からの液を注入します。組織を溶かす「出血毒」が主で,処置が遅れると死に至ることも。
ハ虫類では珍しく胎生で子供を産みます。
パークセンターで千駄堀の地形や季節の動植物の展示をみて,レポートの準備。
縄文時代の竪穴式住居(貝の花遺跡から復元)で当時の生活を体験。
マムシと出会うという幸運に恵まれた野外学習になりました。
リピーター3名を入れて23名の参加でした。
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千駄堀のあちこちで「マムシ注意!」の札を見かけますが,目撃情報は年に1件ほどと聞いていました。マムシは猛毒を持ちますが小型のあまり動きの速くないヘビです。夜行性で目立たないことを考えると,実際の生息数は多いのかも知れません。

2016年9月9日金曜日

自由発表:4題-2016年度・生物学1

 前期の試験期間最終日に,生物学1の自由発表を行いました。
今回は4題のプレゼンテーションがありました。 
  夏休みとはいえ前期試験を控えた中で準備をしてきました。
最初の発表は魚住渉くん。
2006年頃からアメリカ、ヨーロッパでミツバチがいなくなる現象が報告される。
日本でも2009年に北海道で確認されて以来、全国に広がる。2013年度の農業被害は18兆円にのぼる。
いったい何が起こったのか。
授粉におけるミツバチの利用が背景にあり、農薬のネオニコチノイドがミツバチのシナプスに作用し帰巣行動などを狂わせてしまう可能性を説明しました。
次は谷口玲華さん。
シンガポールで開催された「アジア太平洋歯科学生協議会(APDSA)」での体験を紹介しました。
アジアの学生の意識の高さに驚き、
ポスターセッションでは日本の学生が最優秀賞に選ばれるなど、大きな刺激を受けました。
一緒に参加した1年生3名も感想などを述べました。
一様に、英語力やコミュニケーション内容の向上の必要性を痛感したようでした。
3人目は小黒裕之くん。
「ダイエットで考える」
ダイエットの仕組みを生化学的に解明する狙いがありました。
話題の糖質制限ダイエットや脂肪肝の仕組みが説明されました。
今回は生物学以外に生化学の竹内先生、障害者歯科の遠藤先生も発表を聴かれ、
お二人からもコメントもいただきました。
最後は、一戸咲さんと佐々木莉乃さん。
「南太平洋医療隊」に参加しトンガで過ごした体験を紹介しました。
松戸歯学部「国際保健部」の一員として歯科医療や啓もう活動に加わりましたが、初心者として多くのことを学び、歯科医師の職業としての重要性を実感した貴重な2週間でした。
 授業後の感想文には、仲間がどのような興味・関心を持ち、どのように経験を積み上げていったのかがわかる発表で刺激を受けたと書かれていました。
次回は私も発表してみたい、との抱負が複数ありました。
期待します。



2016年8月6日土曜日

夏の白い花ーつるの花2種

 夏休みの体育館から歓声が聞こえるのでのぞいてみました。
”デンタル”(全国歯科学生総合体育大会)の日本拳法部門の会場でした。
松戸歯学部(右)も健闘していました。
主幹校として,3人のマネージャーもアナウンスや記録係として活躍。
そして,真夏の強烈な陽射しが体育館を包みます。
生垣で見た白い花。2種類のつる植物がからみあっています。
手前の三角形の葉と小さな真珠の列のような花をつけているのは
「ヤマノイモ」
ヤマノイモ科  Dioscorea japonica
花の付け根に「むかご」という丸い芋のようなものをつけます。
こちらは「ヘクソカズラ」 
アカネ科  Paederia scandens
ちょっとかわいそうな名前ですが、そんなに臭くはない。
外側の白さが内側の濃い赤紫に強調されます。
筒状の花の内側はこまかい線毛状の突起で満たされています。
二股に分かれためしべが伸びて、おしべの葯は内側面から直に現れています。
それにしても、密集した線毛状の突起の働きは何でしょうか。



2016年7月31日日曜日

鯵(アジ)釣りー東京湾の夏

 梅雨が上がり夏本番,しかし,不安定な天気が続きます。
東京湾のアジ釣りに誘われました。春のシロギス釣りに続いて2度目の海です。
今日の出発は千葉県浦安市猫実です。東西線の浦安橋のたもとに釣り船が出港を待ちます。
この辺りは明治時代(1877年)に蒸気船の発着場がつくられ,昭和時代(1944年)まで東京方面への船の定期便があったため,「蒸気河岸」と呼ばれていたそうです。
浦安橋の開通(1942年)で東京市営バスが通るようになりました。
釣り船屋は「船宿・吉野家」さん。
山本周五郎の小説「青べか物語」の舞台になった”船宿・千本”でした。
売店に立っていたのは4代目・吉野眞太郎さん。
壁にかかっていた写真は「脚立(きゃたつ)釣り」という漁法でした。
遠浅の東京湾で船影に敏感な「アオギス」を獲ったそうです。
浅瀬は埋立てられ汽水域が減少し,アオギスは1962年を最後に東京湾から消えました。
アクアラインを越え,1時間ほどで最初の漁場に到着しました。
午後は天気が崩れるとの予報ですが,今は快晴です。
 仕掛けは金属網のカゴです。この中にコマセ(桶の中で解凍する)と呼ぶ小型のエビ(オキアミなど)を詰めます。カゴの下におもりと釣り針が2本付いています。
今回はイソメではなく,赤く着色したイカを針につけました。
海中でカゴからコマセが撒かれ,寄ってきたアジが赤いイカを口に入れる仕組みです。
おもりが海底に着いて,2mほど釣り糸を巻き上げた深さがアジのかかる水深だそうです。引き上げたり投げ入れたりを繰り返しながら漁を楽しみます。
誘っていただいた平山勝憲先生(左奥)(松戸歯学部解剖学2・非常勤講師),平山雄三先生(東京歯科大・研究員),平山友彦先生(右手前)(松戸歯学部生物学・研究員)には,釣りの指導もしていただきました。
カモメも寄ってきます。のんびりした気分になります。
昼近くから雨雲が発生し,時折激しい雨に見舞われました。
小降りになると再開です。2本の針にアジ(マアジ)がかかりました。大きな収穫です。
水深の浅いところではサバ(マサバ)もかかりますが,夏のサバは味が落ちるうえに痛み易いとのことで放すことにしました。
隣の山本仁先生(東京歯科大教授・組織学)も同じようなテンポで釣上げていました。
15時近くに帰路につきます。船から眺める東京都心。
発達した積乱雲の下面にはゲリラ豪雨を思わせるような黒い帯が見えます。
無事に”蒸気河岸”に戻りました。
同乗の皆さん,お世話になりました。
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今日の収穫。
上:マサバ スズキ目サバ科 Scomber japonicus 1尾だけ持帰り
下:マアジ スズキ目アジ科 Trachurus japonicus 20尾(ご近所にも)
「なめろう」(味噌・ネギ・大葉・ショウガ)と焼き魚でいただきました。