2016年11月27日日曜日

鉱物を探しにー秩父鉱山

 久しぶりに鉱物探しに参加しました。
目指すのは「秩父鉱山」,主催はひがし東京野尻湖友の会です。
池袋から特急で100分,西武秩父駅に集合しました。大雨の予報に反して午前中は薄日が射すほどでした。
駅からは車に分乗して南西に約40分,道の駅・大滝温泉で休憩です。
秩父鉱山は高い尾根を越えた向こうにあります。
道の駅の看板の案内図(地点・矢印は加筆)です。
「秩父ジオパーク」として自然や文化の保存・普及に力を入れています。
道の駅から更に30分以上,採集地点の大黒橋の沢です。わずかに雪も残っていました。
斜面のズリ(鉱山の廃石)や河原の石に鉱物が隠れているはずです。
めぼしい岩石を探してはハンマーでたたきます。
 最初に割った岩石の断面に「金」のような光沢が現れます。
「黄鉄鉱」です。この付近では”普通”の鉱物です。
参加者の採集物を撮影
平面がガラスのような光沢を持ち規則性の高い多面体が現れました。
面の交線が磨かれたように見えます。
「ザクロ石」です。「ガーネット」とも呼ばれています。
1時間ほどで各自お昼の休憩です。雨空はなんとかおさまっています。
食事をしながらも石をたたいています。
午後の採集が終わる頃,雨が落ちてきました。
まとめの会では天藤寛子(右)さんから、採集された岩石や鉱物の説明を受けました。
「黄鉄鉱」の拡大。
小さいですがなかなか良い形をしています。
参加者からお借りしました
ピンク色の「菱(りょう)マンガン鉱」。
荒い横スジが入っている,「繊維石膏」かな。
風化した「方解石」でしょうか。
きれいなブルーの「孔雀(くじゃく)石」。銅のサビ,緑青(ろくしょう)と同じもの。
一見カビのようです。
大黒橋からさらに奥に入り,秩父鉱山を見学しました。
当時の工場跡や家屋も崩れるように残っています。
郵便局(秩父鉱山簡易郵便局)は現在も営業していました。
最盛期の20世紀半ばには2,000人を超す人々がここで生活し,鉄鉱石の産出量は釜石鉱山に次いで2番目でした。1978年からは質の良い石灰岩に限って採掘が続けられています。
大黒橋付近・背後下に川があります
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秩父地域は2億5千万年前には海の底にあり,堆積したサンゴなどの殻が石灰岩を形成しました。600~500万年前、マグマが上昇して石灰岩と反応して元素のやりとり(交代作用)がおき、集積した有用な金属鉱物を秩父鉱山で採掘しました。「接触交代(スカルン)鉱床」と呼ばれます。江戸時代の平賀源内も秩父での鉱山事業に手を染めました。
http://www.chichibu-geo.com/midokoro/index.htmlを使用
秩父ジオパークのホームページには見どころとなる地点がで示されています。

2016年11月20日日曜日

野外学習・千駄堀ー紅葉にひたる

 11月の野外学習は第3日曜日に変更しました。
前日の雨もきれいに上がり濃霧の朝になりました。
学生の到着を待つ「公園中央口」バス停付近。
集合場所付近はドングリだらけです。
1目盛1cm
ドングリ(堅果)の多くはこのような形をしていて,大小があります。
小さくて細長いのがシラカシ,大きくて丸いのがアラカシと決めてみました。
1目盛1cm
はかま(殻斗)をつけた状態。殻斗の輪状の模様はよく似ています。
ドングリが付いている枝を探してみました。
葉の形からはアラカシでしょうか。
堅果の形・大きさの違いは種内の変異でしょうか。
疑問が残ります。
上:表面,下:裏面
この形の落ち葉が目立ちますが,すべての鋸歯の先端から長い突起が伸びています。
これはクヌギかな。
クヌギのドングリは大きくて上下に少し押された球形。
長い鱗片でつくられた殻斗と堅果。
クヌギ (Quercus acutissima
ブナ科コナラ属・落葉高木
自然生態園は開花してる植物が少なかったのですが,担当の川端さんの解説で園内を一巡しました。
秋枯れのガマの穂。濡れた綿アメのように。
鳥の観察では全員がカワセミを見ることができました。
復元された竪穴式住居の前で集合写真。
住居内で説明も聞きました。
紅葉を楽しみながら,秋晴れの野外学習でした。

2016年10月29日土曜日

解剖体法要ー2016年度

 日本大学松戸歯学部・歯学部合同の解剖体法要が築地本願寺でとり行われました。
本年度(2015年10月から2016年9月まで)は46名の尊いご献体があり,解剖学の礎(いしずえ)となられました。ご冥福をお祈りいたします。
ご遺族ならびに教職員の焼香の後,両学部学生代表が焼香します。(写真は松戸歯学部の学生代表)。
読経の中,両学部学生(2年次生)の焼香が続きます。
講話をいただき(写真),続いて歯学部解剖学講座から挨拶があり実習の様子も話されました。
解剖実習は既に10月から始められています。
今日を転機にさらなる勉強に励まれますように。
(私の解剖体法要への参列は今回で終わります。
感謝いたします。)
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築地から銀座へ。地下鉄銀座駅の出口は海面から4mの高さ。一瞬,足元から不安が登ってきました。
銀座は週末のにぎわい。
今年は”ハロウィン”があちこちで話題になっています。

2016年9月25日日曜日

野外学習・千駄堀ーマムシに出会う

雨続きの9月,千駄堀も心配でした。
雲は多かったものの,雨はありませんでした。
万貫田の奥,湧水付近で。
谷津の地形(台地と低地)の成り立ちを確認し,クモの団居(まどい)を観察しました。
自然観察園の湿地を見学。今回は昆虫担当・佐々木さんに案内していただきました。
季節の虫を選んでは触らせてくれます。
クモや昆虫の説明を聞いています。
学生(左の2人)が「ヘビが動いている」と指さしました。
その先にいたのはまだら模様の「マムシ」です。
ゆっくりと体をくねらせて進みます。
夜行性ですが,木道に響く足音などで出てきたのかも知れません。
間近で見れるように,佐々木さんに網で捕らえてもらいました。
体長は60cm以上,細めに見えましたが成獣個体です。
独特の粗いまだら模様の鱗で被われています。
千駄堀では25年ほど前に目撃して以来です。
観察舎に戻り,水槽に入りました。
脊索動物門 爬虫綱 有鱗目 クサリヘビ科 
マムシ属  
ニホンマムシ (一般に「マムシ」)
Gloydius blomhoffii 

赤外線センサーの「ピット器官」で小動物の体温を感知し,暗闇でも捕食できます。0.1°Cの温度差も識別すると言われ,正確な赤外線画像を見ている可能性があります。(青矢印は鼻孔)
上下の牙が,毒腺からの液を注入します。組織を溶かす「出血毒」が主で,処置が遅れると死に至ることも。
ハ虫類では珍しく胎生で子供を産みます。
パークセンターで千駄堀の地形や季節の動植物の展示をみて,レポートの準備。
縄文時代の竪穴式住居(貝の花遺跡から復元)で当時の生活を体験。
マムシと出会うという幸運に恵まれた野外学習になりました。
リピーター3名を入れて23名の参加でした。
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千駄堀のあちこちで「マムシ注意!」の札を見かけますが,目撃情報は年に1件ほどと聞いていました。マムシは猛毒を持ちますが小型のあまり動きの速くないヘビです。夜行性で目立たないことを考えると,実際の生息数は多いのかも知れません。

2016年9月9日金曜日

自由発表:4題-2016年度・生物学1

 前期の試験期間最終日に,生物学1の自由発表を行いました。
今回は4題のプレゼンテーションがありました。 
  夏休みとはいえ前期試験を控えた中で準備をしてきました。
最初の発表は魚住渉くん。
2006年頃からアメリカ、ヨーロッパでミツバチがいなくなる現象が報告される。
日本でも2009年に北海道で確認されて以来、全国に広がる。2013年度の農業被害は18兆円にのぼる。
いったい何が起こったのか。
授粉におけるミツバチの利用が背景にあり、農薬のネオニコチノイドがミツバチのシナプスに作用し帰巣行動などを狂わせてしまう可能性を説明しました。
次は谷口玲華さん。
シンガポールで開催された「アジア太平洋歯科学生協議会(APDSA)」での体験を紹介しました。
アジアの学生の意識の高さに驚き、
ポスターセッションでは日本の学生が最優秀賞に選ばれるなど、大きな刺激を受けました。
一緒に参加した1年生3名も感想などを述べました。
一様に、英語力やコミュニケーション内容の向上の必要性を痛感したようでした。
3人目は小黒裕之くん。
「ダイエットで考える」
ダイエットの仕組みを生化学的に解明する狙いがありました。
話題の糖質制限ダイエットや脂肪肝の仕組みが説明されました。
今回は生物学以外に生化学の竹内先生、障害者歯科の遠藤先生も発表を聴かれ、
お二人からもコメントもいただきました。
最後は、一戸咲さんと佐々木莉乃さん。
「南太平洋医療隊」に参加しトンガで過ごした体験を紹介しました。
松戸歯学部「国際保健部」の一員として歯科医療や啓もう活動に加わりましたが、初心者として多くのことを学び、歯科医師の職業としての重要性を実感した貴重な2週間でした。
 授業後の感想文には、仲間がどのような興味・関心を持ち、どのように経験を積み上げていったのかがわかる発表で刺激を受けたと書かれていました。
次回は私も発表してみたい、との抱負が複数ありました。
期待します。