2017年5月7日日曜日

黄砂と地球磁場逆転ー野尻湖から

 ゴールデン・ウィークの最後に野尻湖発掘調査団の哺乳類グループ集会に参加しました。オオツノジカ化石の上腕骨を論文にする課題があります。
7日の朝,妙高山はいつもよりかすんで見えました。
周りの空気も透明感がないような気がします。
気象庁のHPから
数日前から予想されていた「黄砂」です。
4,5日に北京周辺で猛威を振るった黄砂は,関東地方を含めて広い範囲に影響が懸念されていました。
野尻湖ナウマンゾウ博物館に届いた6日の夕刊に,「チバニアン」の記事が1面トップで掲載されていました。
地球の磁場(N極とS極)が逆転する現象が地球の歴史の中で何度も確認されています。その一つが千葉県市原市の養老渓谷の地層「千葉セクション」に刻まれている証拠が固まり,重要な地層境界の「国際標準模式地」として申請するという記事です。
なぜ長野の新聞のトップ記事に?
国際年代層序表では,左上の0.781(78万年前)のところにはピンが打ってありません。
「更新世中期」となっていますが,ここに日本の地名「チバニアン」を冠しようというものです。実際に青銅製の「ゴールデン・スパイク」が地層に打ち込まれます。
小湊鉄道のHPから。磁気逆転層の写真。
境界を決定する重要な「鍵層」になったのが写真の「Byk-E」(白尾(びゃくび)層)の数cm幅の「火山灰層」です。
その中の成分やウラン(U)と鉛(Pb)の存在比を高精度で分析し,77万年前に噴火した長野県の「御嶽山(おんたけさん)」から飛んできて降り積もった火山灰であることを確実にしました。
GoogleMapから
御嶽山から250kmも離れた養老渓谷の地層に火山灰を運んだのは,中央アジアの砂塵を巻上げて日本の空に黄砂をもたらす強い風「偏西風」でした。
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今回は野尻湖発掘調査団の人類考古グループと同時期の集会でした。
 人骨という直接の証拠はまだありませんが,野尻湖人の姿と生活を追いかけています。
 オオツノジカの同じ部位も人類考古の目で調べます。
化石は地質学的背景を含めて多面的に解明されていきます。


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