2015年5月9日土曜日

石炭と化石

 化石ゾウの調査のため,福島県いわき市常磐湯本町の「いわき市石炭・化石館」をたずねました。
入口に首長竜のモニュメントと後には石炭坑道に降りるエレベーターがそびえています。
やはり,フタバスズキリュウが出迎えます。
1968年,高校2年生の鈴木直さんの発見は日本の恐竜研究を大きく発展させました。
全長6.5mのエラスモサウルス類。
正式に新種のフタバサウルス Futabasaurus suzukii となったのは2006年のことです。
Palaeontology.vol.49,467-484,(2006)の論文に記載された頭蓋と歯の写真。
8,500万年前の地層から産出しました①。
イワキクジラなどの大型海生哺乳類も発見されています。
1980年発見のイワキゾウ(ステゴロフォドンという仲間)。
1,700万年前の化石です(いつもは実物を展示)。
この発見でステゴロフォドンの下顎には牙があることがわかりました。
現在は福島県の天然記念物に指定されています。
イワキゾウの実物標本を調べる共同研究者の飯泉克典さん(茨城大学・大学院生)。
咬耗の微細な跡から顎の動きを解析します。
未萌出の乳臼歯も展示され,発生学的にも興味はつきません。
エレベーターで地下の坑道に降りると採掘の歴史を復元した展示や解説があります。(上は家族で掘っていた明治時代の様子。下は1960年代,機械化された採掘現場)。
大量の温水が噴き出す高温で難しい炭鉱でした。
1976年には全ての炭鉱が閉山しました。映画「フラガール」(2006年)は当時の状況を伝えています。
外の公園に展示されている,いわき市付近の岩石。
常磐炭田は3,300万年前の地層(常磐夾(きょう)炭層)にあり②,海に向かって傾斜しているため,この付近では600m以上も深い坑道になりました。
湯本駅前。笛を吹く少女の隣で帰りの電車を待ちました。
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①中生代白亜紀後期 双葉層群玉山層
多数のサメの歯も産出しました。
②新生代第三紀始新世 白水層群石城層下部
石炭の元になったのは現生に近い被子植物です。






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