2016年6月13日月曜日

Kangaroo Island-ー南オーストラリアの自然 その2

アシカ,カンガルー,コアラと野生動物を堪能した後は,西側にある島内最大の保護地域,フリンダース・チェイスFlinders Chase 国立公園に入ります。
この南海岸には奇観といわれる地形があります。
その1つ,リマーカブル・ロック Remarkable Rocks。
岬の突端に取り残されたような岩の塊。朝日や夕日を受けて色を変化させます。
近付くとかなり大きな岩です。
岩肌を拡大すると肉眼でも見える大きさの鉱物でできています。
花崗岩(granite)です。
地下深くでマグマがゆっくりと固まった深成岩です。
黒は角閃石(柱状)や黒雲母(形が不定),白は斜長石,透明がかった灰色は石英。
左の赤い斑紋は「地衣類」です。海岸の岩場という過酷な環境で生活してきました。
Google Map から
上空から見ると,奇岩群はドーム状の隆起のわずかの部分であることがわかります。
地下深くのマグマが上部の地層をドーム状に盛り上げ,マグマが冷えて固まり地表に露出し,表層に亀裂が入り風化して砕け去ったが,一部は辛うじて残り現在の光景があります。
巨岩の中に質の違う岩がはまり込んでいます。
捕獲岩(ゼノリス,Xenolith)です。
マグマの周囲にあった岩石の一部が取込まれ,そのまま岩の一部になったものです。
周りの花崗岩が風化が進むとゼノリスが抜け落ち,穴のような造形が現れます。
5億年前のマグマの上昇に始まる,カンガルー島の壮大な歴史を眺めるようでした。
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リマーカブル・ロックから5kmほど西に移動すると,もう一つの奇観,アドミラル・アーチAdomirals Arch に着きます。カンガルー島の西南端です。
駐車場に横たわるカンガルーの死体。タンマーTammer wallaby かも知れません。
野生動物は手厚く保護されていますが,人間社会との接点では避けられない事故もあるのでしょうか。
駐車場から岬の先まで木道が整備されています。かなりの高低差を降りて行きます。
岬の中腹から海面にかけて,大きなトンネルが開き,眼前に海が飛び込んできます。
外側の硬い岩層に覆われている内側の石灰岩層が長い年月で溶け出し,さらに波に浸食されて大きな空洞が形成されました。
外側から見ると,溶け落ちるように端を伸ばした石灰岩の地層がわかります。
この一帯はニュージーランド・オットセイ
New Zealand Fur-seal ( Long-nosed Fur-seal) Arctocephalus forsteri
の生息地にもなっています。
最近のオーストラリアの記事では,個体数の増加と共に漁業への影響や海鳥の減少も引き起こしているため,間引き等の管理が必要との声も聞かれます。
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日没のフリンダーズ・チェイズ国立公園。(高速で
ペネショウに向かう車窓から)
16時間近い強行軍でしたが,離島に残された南オーストラリアの自然を満喫した一日でした。

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