2016年6月18日土曜日

梅雨の夏空に

 冬に向かうオーストラリアから戻ると,梅雨とは思えない好天に戸惑います。
すっかり夏の気配です。
日差しを避けるように,エンドウのような実を付けた
「ハナズオウ」。
マメ科,Cercis chinensis
土曜の昼,炎天下で練習に励みます。
弓道場をのぞいてみました。
後輩を指導する姿がありました。
的を目指す。
先輩も後輩も真剣です。
真っすぐな緊張感。
練習の邪魔をしたようです。
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2016.06.18  21:15,牛久市
薄曇りの南の空に互いに接近した4つの星が見えました。

2016年6月13日月曜日

Kangaroo Island-ー南オーストラリアの自然 その2

アシカ,カンガルー,コアラと野生動物を堪能した後は,西側にある島内最大の保護地域,フリンダース・チェイスFlinders Chase 国立公園に入ります。
この南海岸には奇観といわれる地形があります。
その1つ,リマーカブル・ロック Remarkable Rocks。
岬の突端に取り残されたような岩の塊。朝日や夕日を受けて色を変化させます。
近付くとかなり大きな岩です。
岩肌を拡大すると肉眼でも見える大きさの鉱物でできています。
花崗岩(granite)です。
地下深くでマグマがゆっくりと固まった深成岩です。
黒は角閃石(柱状)や黒雲母(形が不定),白は斜長石,透明がかった灰色は石英。
左の赤い斑紋は「地衣類」です。海岸の岩場という過酷な環境で生活してきました。
Google Map から
上空から見ると,奇岩群はドーム状の隆起のわずかの部分であることがわかります。
地下深くのマグマが上部の地層をドーム状に盛り上げ,マグマが冷えて固まり地表に露出し,表層に亀裂が入り風化して砕け去ったが,一部は辛うじて残り現在の光景があります。
巨岩の中に質の違う岩がはまり込んでいます。
捕獲岩(ゼノリス,Xenolith)です。
マグマの周囲にあった岩石の一部が取込まれ,そのまま岩の一部になったものです。
周りの花崗岩が風化が進むとゼノリスが抜け落ち,穴のような造形が現れます。
5億年前のマグマの上昇に始まる,カンガルー島の壮大な歴史を眺めるようでした。
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リマーカブル・ロックから5kmほど西に移動すると,もう一つの奇観,アドミラル・アーチAdomirals Arch に着きます。カンガルー島の西南端です。
駐車場に横たわるカンガルーの死体。タンマーTammer wallaby かも知れません。
野生動物は手厚く保護されていますが,人間社会との接点では避けられない事故もあるのでしょうか。
駐車場から岬の先まで木道が整備されています。かなりの高低差を降りて行きます。
岬の中腹から海面にかけて,大きなトンネルが開き,眼前に海が飛び込んできます。
外側の硬い岩層に覆われている内側の石灰岩層が長い年月で溶け出し,さらに波に浸食されて大きな空洞が形成されました。
外側から見ると,溶け落ちるように端を伸ばした石灰岩の地層がわかります。
この一帯はニュージーランド・オットセイ
New Zealand Fur-seal ( Long-nosed Fur-seal) Arctocephalus forsteri
の生息地にもなっています。
最近のオーストラリアの記事では,個体数の増加と共に漁業への影響や海鳥の減少も引き起こしているため,間引き等の管理が必要との声も聞かれます。
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日没のフリンダーズ・チェイズ国立公園。(高速で
ペネショウに向かう車窓から)
16時間近い強行軍でしたが,離島に残された南オーストラリアの自然を満喫した一日でした。

Kangaroo Islandー南オーストラリアの自然

 日の出前のアデレードからフルリオ半島(Fleurieu Peninsula)を南下すること3時間。この半島はワインの産地としても有名です。
柵の中央部。目を凝らさないと見えませんが。
丘陵地に拓かれた牧場の外を野生のカンガルーが飛び跳ねる光景も目にします。
バスはカンガルー島へのフェリーが出るケープ・ジェービスに向かいます。
カンガルー島はオーストラリアで3番目に大きな島。人口4,400 人(2011年),東西150km,南北は最大57km,4,400平方キロ(東京都の約2倍)の面積をもち,約3分の1を自然保護地域が占め貴重な生態系が残されています。
フェリーはバックステアズ水路(13.5km)を45分ほどで渡り,島の玄関口にあたるペネショウに接岸します。海岸は大きく褶曲した岩肌が波に洗われています。
ペネショウからの最初の目的地はエミュー・リッジのユーカリ精油所で,工場として残っているのはここだけだそうです。案内されたのはお土産販売所でした。
ユーカリ油の説明を聞きながら,色々なポスターを見回しました。
カンガルー島の8種類の有袋類のうちKI(Kangaroo Island) タマーMacropus eugenii とKIカンガルーMacropus fuliginosus が紹介されていました。この2種はカンガルー島では合法的に間引きされているようです。ガイドブックによればTammer は南オーストラリア本土では絶滅しています。
大きな毛皮の傍にネコによる野生動物の被害が記されていました。
1頭の野生化したネコ(feral cat)胃の中から出てきたのは島固有のトカゲを含む35匹以上の動物でした。
オーストラリア全体では野生ネコの推定は1200万頭で1億頭の野生動物が被害にあい,加えて300万頭のペットネコによって2,500万頭の野生動物が被害に遭っていると記しています。ネコの駆除については大きな社会問題になっています。
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次にSeal Beyシール・ベイを目指します。Sealはアシカやアザラシのことです。
オーストラリア・アザラシAustralian sea lion
シール・ベイはオーストラリア・アザラシ
Australian sea lion  Neophoca cinerea アザラシ科
の繁殖地です。
オーストラリア・アザラシは19世紀にほぼ捕り尽くされ,絶滅危惧種になっています。
現在地球上に生息するのは14,700頭,ここはオーストラリア第3の繁殖地です。
見学者は熟練したガイド(レンジャー)の案内で一団となって行動します。
10m以内に近づくことはできません。
子供のオーストラリア・アシカ。アシカの特徴である小さな耳が見えます。
アシカは前脚で体を支え,陸上も移動します。
通路の近くにいる時は移動するのを待つか,ガイドが迂回路を設定します。
350kgに達する雄の成獣でも陸上を素早く動きます。
ビジター・センター内には全身骨格に加えて毛皮や頭蓋骨,各種データが展示されています。この近くで昼食をとりました。
次に向かったのはハドソン湾保護地区(Hadson Bay Sanctuary)です。
ここではカンガルーとコアラが観察できます。
のどかにくつろぐカンガルー(KI Kangaroo )。
しかし,カメラやスマートホンを持った一団が迫ってくるのは,カンガルーにとってはストレスでしょう。
Koala Walk と呼ばれるユーカリ並木を歩いてコアラを探します。
コアラがどこにいるかわかりますか。
ユーカリの樹冠に近いところまで登っています。
活発なコアラは思ったよりも敏捷に枝を移動していました。
コアラの糞はさらさらと壊れ,ユーカリ油の匂いがしました。
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 カンガルー島のコアラの先祖は,開発と毛皮の取引によって激減した南オーストラリア州の個体数を回復するために隣のヴィクトリア州から1923年にフリンダーズ・チェイス国立公園に移入された個体です。当初は18頭の成獣と数頭の幼獣でしたが,島の環境は順調な個体数の増加をもたらしました。そして,島の生態系の維持のための個体数のコントロールが大きな課題となってきました。


2016年6月8日水曜日

単孔類とワラビーを間近にータロンガ動物園(Taronga Zoo)

サーキュラー・キーからフェリーで15分ほど,ポート・ジャクソン湾の対岸にオーストラリア有数の規模を誇るタロンガ動物園があります。
フェリーを降りるとロープーウェイに乗れます。タロンガはアボリジニ語で”美しい水の眺め”という意味ですが,シドニー市街を望むとなるほどと思います。
地図の右上に港があり,ロープーウェイで左下の入口まで登ります。
高低差のある29haの敷地に380種2200頭を展示する大規模な動物園です。
私の関心はオーストラリア区域の動物が中心になりますが,アフリカやアジア区域の動物も大きな割合を占め,子供たちの歓声があがります。

ハリモグラが動いているのを見るのは初めてでした。
Echidna : Tachyglossus aculeatu
夜行性の動物舎,径30−40cmに丸まった針のかたまりが予想以上に活発でした。
オーストラリア全土に生息し,アリやシロアリを食べています。
特別舎の水槽で待つこと30分,カモノハシが姿を現しました。
Platypus :Ornithorhynchus anatinus
体長50-60cm,水かきのある前肢を活発に動かして素早く泳ぎます(追いかけながら撮影しました)。オーストラリアの東部に生息し,昆虫や水性の小動物を食べています。オスの後ろ足の爪からは小さな動物は死に至るほどの毒が出されます。
卵を産む哺乳類・単孔類の現存する2種類を間近に観察できたことは大変な収穫でした。
ぜひ会いたかったイワワラビーの仲間。
オグロイワワラビーBrush tailed Rock-wallabyを近距離で観察できました。
Petrogale penicillata
体長50〜60cm, 尾長も同じくらい。体重5〜10kg。
岩場の生活に適して足の裏は滑り止めのパット状になっています。
こちらはオグロワラビー。名前は似ていますが深い茂みや湿った土地に住む仲間です。
Swamp Wallaby:Wallabia bicolor
体長,体重ともオグロイワワラビーよりやや大きい。
アカクビワラビー。疎林や灌木地に生息します。
Red necked wallaby:Macropus rufogriseus
体長約80cm,体重25−20kg
説明板にカンガルーとワラビーの違いが載っています。
今回,様々なワラビーをじっくりと見る事ができ,一層の親近感が生まれました。
タロンガ動物園には,係員が同行してコアラを間近に見ることができる区域があります(別料金)。
しかし,ニュー・サウス・ウェールズ州(シドニーが州都)の規則で,コアラに触ることはできません。一日のほとんどを寝て暮らすコアラにとって,触られたり動かされたりするのはかなりのストレスなのだそうです。それを知っているのか,本当にすぐそばでコアラが眠っています。
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Vivid Sydney 
シドニー湾は幻想的な光のアートに彩られました。
タロンガの動物たちにはどのように見えるのだろうと,船上からの眺めを堪能しながら考えました。