2015年6月7日日曜日

古代ザメー東海大学海洋科学博物館

 週末に化石研究会の総会・学術大会が静岡市清水区の東海大学海洋科学博物館で開催されました。世界遺産「富士山」の一部をなす「三保の松原」の近くです。
駿河湾から望む富士山。
(撮影:中尾凪佐さん・東海大学海洋学部3年生・実習船「望星丸」にて)
駿河湾は海岸から急に深くなる独特の地形を持ち、多種多様な深海生物が生息しています。
併設されている自然史博物館と先代の練習船「東海大丸二世」。
水族館の大水槽ではサメやエイが悠々と泳ぎ、間近に観察できます。
シンポジウムのテーマは「深海環境と生物」。
「生きた化石」といわれる「ラブカ」の標本を見るのも楽しみでした。100年前に日本で発見され記載された深海ザメです。
カグラザメ目ラブカ科 Chlamydoselachus anguineus
4億年前に繁栄したサメの仲間・クラドセラケ(絶滅種)との類似性を残し,ラブカも1億千万年前から化石が知られています。
エラ孔は6対で,水槽で泳ぐ現生のサメ達よりも1対多く,エラの一部が顔を出しています。一番前のエラはえり巻きのように首を取り囲みます。
ひと続きの側線(感覚器)が溝をなして体側を走ります。
口は下ではなく前につき,1本の歯は三叉に分かれて鋭く内側を向き,列を作り300本ほど並びます。(自然史博物館に展示)
透明な卵殻に包まれて胚が育ちます。
エラの部分が赤くなった胚が見えます(矢印は画像です)。
大きな卵黄嚢を抱えた胎仔。外エラが発達しています。
少し育った胎仔(上)エラやヒレがはっきりしてきました。
卵黄嚢が小さくなり,ほとんど親と同じ姿をしています(下)。
ラブカは卵胎生で子宮の中で60cmほどに育った子供を産みます。
妊娠期間は3年と見積もられています。
捕獲数は少なく,まだまだ謎の多いサメです。
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深海魚の液浸標本がとてもきれいでした。
研究と教育の両面が充実した水族館です。

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