2014年1月30日木曜日

鳥から学ぶ ーネイチャー・セミナー#2

2回目のネイチャー・セミナーが生物学準備室で開催されました。
海老原先生が2006年から参加した「松戸市環境調査」での8年間にわたる成果の一端が紹介されました。
学部の1年生も参加し,全部で10名(1回目は教員だけで6名)。
これまで撮り貯めた写真や統計資料は貴重なものばかり。
これはスライドの1枚。
日本では年に2〜3回観察される程度のアメリカウズラシギや,珍しい外洋性のハイイロヒレアシシギが写っています。
松戸歯学部周辺ではこれまで15目35科97種,年平均65種の鳥類が観察され,松戸市の中でも自然が残されている地域といえます。
しかし,人為環境の中,ギリギリの状況で生き延びる野生の姿があります。
工事現場の盛り土に営巣したカワセミ。
交通事故,農薬や建物への衝突で命を落とす鳥も紹介されました。
プレゼンの後,様々な質問や関連した話題が出されました。
校庭で拾った羽が配られ,鳥の種類や羽が生えていた部位を考えました。
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学内にも自然に関心を持つ人は少なくないようです。
息の長いセミナーになればと思います。


2014年1月28日火曜日

肉食系の顎をのぞく

イヌを例に食肉類の顎をのぞいてみましょう。
頭蓋骨の左側面。
頬骨弓(紫矢印)の強い張出しと下顎骨側面の大きな凹み(咬筋窩:星印),頭頂に矢状稜(緑矢印)が張出して,顎の筋肉が強大なことが想像されます。
下顎骨の後端は角突起(赤矢頭)が発達しています。水色矢印は顎関節の位置。
顎関節(赤矢頭)では,下顎頭が下顎窩の腹面の突起で支えられるように入り込みます。外耳道の位置を水色矢頭で示しています。

顎関節を分離し関節面をみると,細長い棒状の下顎頭(緑矢印)は下顎窩(赤矢頭)に入り込み近位部は関節後突起(紫矢印)で下から支えられます。強く咬み込んでも外れません。下顎を左右に動かすのは難しいでしょう。外耳道の位置が水色矢頭で示されています。
拡大すると耳の中に縦長の骨(青矢印)が見えます。
耳小骨の「ツチ(槌)骨」の「柄」にあたる部分です。
関節後突起(紫矢頭)と関節後孔(血管を通す:緑矢印)を示します。
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食肉類は下顎を上下に動かす強い筋に対応したの顎関節の形態を持っています。
なじみの深いイヌとネコの違いはどうでしょうか。
顎の進化では耳小骨の成立ちが話題になります(時代と共に顎の骨が耳の中に移ってくるストーリー)。この位置関係からどのような説明ができるのでしょうか。


2014年1月25日土曜日

冬の蛾(ガ)に会う

 冬には珍しい蛾の便りがありました。紹介します。
 投稿は,海老原智康先生(歯科総合診療学教室)です。
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 帰宅時、学内の駐輪場を歩いていたところ、蛍光灯の下でキバラモクメキリガ/Xylena formosa (ヤガ科ヨトウガ亜科)というガの1種を発見しました。


恐らく駐輪場の明かりに引き寄せられて飛来し、その後気温が下がったために飛べずにいたのでしょう。


 本種は関東地方の平野部に広く分布していて、決して珍しい種類ではありませんが、成虫の出現時期が11~3月と冬季に限られているため、なかなか出会う機会がありません。



 今回も駐輪場の地面に、まるで落葉のようにじっとしていたため、よほど注意していなければ見過ごしていたことと思います。 (文・写真:海老原智康)
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【撮影データ】
種名:キバラモクメキリガ Xylena formosa (ヤガ科ヨトウガ亜科)
日時:平成24年1月24日(金) 20時40分頃
場所:学内駐輪場 電灯の下
標本写真:平成21年12月23日 松戸市内にて採集
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 モクメ(木目)の名が付いたのもうなずけます。
 ヤガ科は”夜蛾”でしめすように夜行性で,蝶の中でも大きなグループです。しかし,”ヨトウムシ(夜盗虫)”の仲間は花やキャベツなどの野菜の害虫で知られ,人間との関係はやや気の毒な気がします。

2014年1月17日金曜日

眼をのぞく

 今週の実習は眼球の解剖。ブタの眼球は東京食肉市場から購入。

 眼球を動かす筋肉,眼瞼(まぶた)も気にしながらハサミを進めます。
 角膜,強膜,視神経を剖出して外部をスケッチ。
 半切するときの強膜,硝子体の感触も大事。
内部を観察し,水晶体の周辺,網膜(視神経乳頭,黄斑)をスケッチ。
 剖出したすべて。虹彩,毛様体をスケッチします。
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網膜の組織構造は来年の実習で詳しく観察することになります。

2014年1月11日土曜日

鳥を探す

 寒波が押し寄せていますが,北から来て日本で冬を過ごす鳥たち(冬鳥)には暖かいのでしょう。グランドで鳥を探してみました。
ツグミが堀沿いの生け垣に休んでいました。
ツグミ(スズメ目ツグミ科 Turdus naumanni) 
10月頃にシベリアから飛来し,3月頃まで日本にいます。
目の部分を黒い線が通ります(過眼線)。羽根はくすんだオレンジ色
歩きかたに特徴があり,数歩進むとスッと背をのばして周囲を警戒します。
ハクセキレイ(スズメ目セキレイ科 Motacilla alba lugens
長い尾を上下に振って歩くスズメ大の鳥です。

1年中見ることができます。
これも目の部分を黒い線が通ります(過眼線)。
冬の季節には体が全体に灰色っぽくなります。
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 構内には薮のような茂みが少なく,庭木も手入れが行き届いていますので,鳥たちにとって魅力的かどうかはわかりません。

2014年1月8日水曜日

新年の寒と暖

 2014年,おだやかに明けました。
まだまだ,寒い日が来ます。

わずかなコンクリートのすき間から春らしい色が見えました。
 ギザギザの葉で花茎の先に黄色の花をつけています。 ノボロギクです。
ノボロギク Senecio vulgaris
キク科の1年草(または越年草)ですが,いつでも開花が見られます。
花はこれ以上開かない筒状花です。
明治のはじめにヨーロッパからやってきて日本中に分布しました。
自分の花粉で受粉する自家受精で様々な環境に入り込みました。
 これはホトケノザ。Lamium amplexicaule。シソ科オドリコソウ属。
紫色の唇型の花をつける。
筒状の長い花弁を抜き取って蜜をなめる遊びがありました。
食用ではなく,春の七草の「ほとけのざ」は別の植物(コオニタビラコ)です。
生垣の内側,グランド沿いの日陰には霜柱がザクザクと立っていました。
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冬と春がせめぎ合うような光景がみられます。