2013年11月2日土曜日

イヌの歯から考えるトリボスフェニック型臼歯

 先月の実習で哺乳類の歯を比較しました。
 イヌは身近な哺乳類ですが,日常では歯を見る機会は少ないようです。
動物センターにあるビーグル犬の歯を見てみましょう。
歯式は3・1・4・2/3・1・4・3=42。哺乳類の基本歯式に近い。
(I:切歯,C:犬歯,P:小臼歯,M:大臼歯)
右側上顎第一大臼歯と第四小臼歯の咬頭。
(pr:プロトコーン,pa:パラコーン,me:メタコーン,hyハイポコーン,pal:パラコニュール,mel:メタコニュール,trb:トリゴンベイスン,tab:タロンベイスン)
左側下顎第一大臼歯(舌側から)。
(prd:プロトコニッド,pad:パラコニッド,med:メタコニッド,hydハイポコニッド,end:エンドコニッド)
頬側から咬合をみると。
上顎P4のpa--meのつくる鋭い稜と下顎M1のpad--prdの稜はすれ違うように肉を切り裂きます。一方,上顎M1の中央のくぼみ(trb)に下顎M1のhydがはまり込むように食物をつぶします。
舌側から見ると,上顎M1の舌側よりのくぼみ(tab)に下顎M1のendがはまり込むのがわかります。(medは上顎のprの側面とすれ違って肉を押さえる働きのようにも見える)
イヌの仲間は食肉類としての歯の特徴を進化させてきましたが,それでもなお,多様性の元となった切断とすりつぶしの機能を持つ”トリボスフェニック型臼歯”のしくみが見て取れます。


3 件のコメント:

  1. 仙台市 川村歯科医院 噛み合わせ矯正歯科の歯科医師の川村秋夫です。東北大の生理学で 時々 遊んでいました。咬合の勉強会に 写真を使わせていただきたいです。 埴原和郎先生 後藤仁敏先生の本からも 一部 比較解剖学 トリボス スフェンの組み合わせを勉強しています。

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    1. 川村秋夫様
      咬合の勉強会でお役に立つのでしたらうれしいですね。ご利用ください。

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  2. 仙台の川村秋夫です。 イヌのスカル ネコのスカルもも入手し 勉強になります。
    ブタは 大きいので 入手を諦めました。 咬合の基本に戻って 勉強しています。 

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