2016年3月27日日曜日

被災地を訪ねるー福島県久之浜

 3月27日,日本解剖学会の「東日本大震災の被災地を訪ねる」ツアーに参加しました。
学会開催地である福島県郡山市の
「ビックパレットふくしま」を30数人を乗せたバスが出発します。
向かう先はいわき市久之浜(ひさのはま)。
モニターには2011年3月11日の震災直後からの惨状が映し出されました。
亡くなった方68名。700戸近くが浸水・倒壊・火災の被害にあわれました。
郡山から磐越自動車道を1時間半ほどでいわき市の北端,久之浜に着きます。
久之浜は太平洋を望むおだやかな街並に見えます。
(震災前の久之浜:海のきわまで家屋が建ち並ぶ)
語り部の阿部忠直さんが被災された当時の様子を話され,
その後の町の歩みも説明されました。
あれから5年が経っています。
海側は広大な造成地になり人々を待ちますが,水道等のライフラインの整備はこれからとのこと。かつての2倍以上の高さをもつ防潮堤と,隣接する防災緑地の工事が進められています。
その中に小さな神社が建っています。秋義(あきば)神社。
あの津波に飲込まれながらも奇跡的に残り,
復興工事計画では撤去されるはずが地域の皆さんの声で現在もここにあります。
海を望むことはできませんが,大きなモニュメントです。
福島第一原発4号機:新聞写真から
久之浜は地震・津波・火災で県内でも最も大きな被害を出しました。
さらに,福島第一原発(北に30キロ)の事故によりいわき市で唯一集団避難をした地域です。その後も漁業ができなくなり風評被害にも遭うという,この大震災の全ての困難を背負った場所のように思えます。
(久之浜漁港の激しい損壊と現在の様子)
高級魚の出荷で有名だった久之浜漁港も大きな被害を受けました。
停泊している漁船の乗組員は当時,原発が波に飲まれるのを沖から目撃したそうです。
一帯は80cmほど地面が下がり,かつての岸壁が堤防のように見えます。
(このような地盤沈下は南の四倉港でも観察されました。)
(工事中の防潮堤と防災緑地:久之浜)
東日本大震災は終わっていない。ほとんど知られていない現実がありました。
被災地,被災者の困難は計り知れません。
一日も早い復興を祈ります。

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