クリスマス気分を切替えるように,12月25日から野尻湖発掘調査団・哺乳類グループの調査合宿に加わりました。
黒姫駅から眺める黒姫(左)と妙高(中央右)。
今回はオオツノジカの記載を担当します。
(博物館の近藤氏と哺乳類Gの間島氏(オレンジ)) |
20年以上も発掘間隔が離れている化石が奇跡的に接合しました。
詳細は発表までの楽しみにしておきましょう。
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見ておきたい化石のある長野市内の博物館に足を伸ばしました。
バスが出るまで,善光寺の門前で「おやき」をいただきました。
長野駅からバスで40分。犀川(さいがわ)沿いに山間部に入っていきます。
信州新町化石博物館。
この地域にいた海生哺乳類の化石が展示されています。
信州新町化石博物館。
この地域にいた海生哺乳類の化石が展示されています。
信州新町付近からはクジラの化石が多産しています。
頭の部分から口の先までが出土した500万年前のセミクジラ。
上顎骨の前部が下に曲がるセミクジラの特徴を持ちます。体長15m前後と推定されています。
最初の発見は1938年でしたが,新種の「シンシュウセミクジラ」Eubalaena shinshuensis
として2007年に記載されました。セミクジラとしては世界最古です。
こちらはセイウチの仲間,「オントケトゥス 」Ontocetus sp.
450万年前に生息していました。
この立派な頭蓋標本も「オントケトゥス」。
体長は3~4mと推定されています。
現生のセイウチと比べると犬歯が短く強く下を向いています。そしてセイウチでは失われた切歯を持っています。
アシカの仲間(Otariidae)の下顎。安曇野(あずみの)市で産出。
1,300万年前の世界最古の化石です。これまではカリフォルニアから出土した700万年前のピタノタリア(Pithanotaria)が最古とされていましたので,600万年も古いアシカの先祖となります。
ダイカイギュウの仲間「ドゥシシーレン」Dusisiren sp.の肋骨。北太平洋に生息していた大型の海牛の仲間。
これは400万年前の化石ですが,ヒトの乱獲によってつい250年ほど前に絶滅しました。
アザラシに近い仲間の「アロデスムス」Allodesmus sinanoensis (デスマトフォカ科)。
1,500万年前。松本市から出土。
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日本列島の中央に位置し山岳地帯でもある長野県から海生哺乳類の化石が産出するのは,
当時,北(今の日本海側)から大きな古信州湾が広がっていたと考えられています。
博物館ホームページから (*権田層のヒゲクジラが「シンシュウセミクジラ」を示します) |
博物館の展示から |
一方,この付近からはゾウやシカなどの陸生哺乳類化石も産出します。北アルプス付近に生息していたのでしょうか。
隣接する美術館(手前)と有馬生馬記念館(赤い洋館)。