2017年6月23日金曜日

「根付」から学ぶー松戸自主夜間中学・理科

 今回の「理科の授業」(第61回)は長沢優樹さんのコレクションの紹介です。
前回の岩石の授業の時に決まりました。楽しみです。
リュックにつめて運んでくれた実物を,テーブルに並べます。
2年ほど前から趣味として「根付(ねつけ)」始めました。
そのために集めた様々な材料です。植物(竹や柘植(つげ)),ハ虫類(ヘビの椎骨,カメの甲羅(こうら)),哺乳類(骨,歯,角,毛皮),石など種類が豊富です。
「根付」は小さな袋やタバコ入れを携帯する時に,帯にはさんで落ちないようにするための留め具です。長沢さんの作品(シカの角に細工をほどこし着色)を見せてもらいました。
マッコウクジラの歯(左)と白サンゴ(右)。
牛の関節の骨(中央),イノシシの牙(左下),山羊の角(下中)。
そして黒曜石(左上)とメノウ(右上)です。
長沢さんは一つ一つについて産地や特徴,細工のしやすさなどを話していきます。
牙を加工する時の固いエナメル質と軟らかい象牙質の違いなどの説明もあります。
これは水牛の角ですが,けずる時に細い繊維状にはがれて行く性質があるので,細心の注意を払うそうです。断面を見るとそれがわかりました。
参加者からは色々な質問が出ました。
長沢さんは丁寧(ていねい)に答えていきます。
ホワイトボードに説明もつけてリストアップしました。
細工は「左刀(ひだりかたな)」という道具を用いますが,それも自作です。
用途によって形や硬さを変えて作るそうです。
海外から動物の材料を入手する場合は「ワシントン条約」という,野生動物を守るために取引を規制する法律があり,守らなければなりません。
ニホンジカの頭蓋骨を手に。
帰りの「まとめの会」で,今日の授業について参加者からの感想と長沢さんからの報告がありました。実際に作るところを見てみたいとの希望もありました。
これからも,「自分たちでつくる」授業を企画したいと思います。

2017年6月10日土曜日

古墳の石はどこからー我孫子中学・遺跡

 私の母校・我孫子中学校(千葉県我孫子市)の同窓会の定期総会に出席しました。
正門のうっそうとした木々に目が癒されます。
当時はすぐにグランドで,その奥に弧を描いた独特な形の校舎が建っていました。
「緑陰」と銘された,本を読む少女の像。
正門を入ってすぐに「高野山一号墳石室」の案内板があります。
約1,400年前の「前方後円墳」(長さ36m,高さ2m)から移設した石室で,7体分の人骨が残されていました(発掘調査1958-59年)。
強い日差しを受けて,石室を作る岩石がキラキラと光ります。
表面に板状のはがれがあって,断面には並行な細い割れ目(片理)があります。
「結晶片岩(片岩)」(変成岩の仲間)だと思います。
この石はどこから運ばれたのでしょう。
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 校歌にもうたわれる「筑波山」は花崗岩などの石材産地です。日本列島の西側を縦走する大きな境界「中央構造線」の北側に沿った「領家(りょうけ)変成帯」に属しますが,この変成岩は産出しません。
(大鹿村中央構造線博物館HPの図から改変)
 結晶片岩は中央構造線の南側に沿った「三波川(さんばがわ)変成帯」を代表する,低温高圧性の広域変成岩です。関東の産地では長瀞(ながとろ:埼玉県)が有名です。
この石の由来は考古学的な研究からはどのように考えられているのでしょう。
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同窓会総会前に合唱部の歌声に合わせて,「校歌」を斉唱しました。