連休に野尻湖に行ってきました。
今年3月,大雪の中での湖底発掘とは大きく様変わりしています。
今回の目的は発掘された化石のクリーニング。
主にナウマンゾウの歯や骨です。
野尻湖ナウマンゾウ博物館にはナウマンゾウやオオツノジカの骨格が展示され,野尻湖の生い立ちや発掘の歴史も紹介されています。
ナウマンゾウの年齢ごとの臼歯を並べた貴重な展示。
収蔵庫にはこれまでの発掘で得られた様々な標本が保管され,研究に使われています。
クリーニング作業は歯や骨の破片から砂粒や一つひとつ取り除き,強化剤で固めていきます。
うまくいけば,ジグソーパズルのように接合できます。
大きな臼歯もとり上げた時は泥や砂に埋もれた状態です。
竹串やブラシで丁寧に落とす根気のいる作業です。
その後,強化液で補強します。
すでにクリーニングが完了した上顎大臼歯の標本。
これは側面です。縦に並んだ板状のものを「咬板(こうばん)」と呼びます(ラメラとも 呼ぶ)。右下が咬合面です。
咬合面の形状。黒い長楕円形の輪郭がエナメル質(1),エナメル質に囲まれた領域が象牙質(2)でこれが「咬板」です。咬板をつないでいるのがセメント質(3)です。
(発掘標本の写真は野尻湖発掘調査団の承認を得ています。)
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生物学教室では,ナウマンゾウの歯を研究しています。
中央の白い部分がエナメル質です。
象牙質(左)やセメント質(右)とどのように接着しているかを組織構造から調べ,ゾウの歯のできかたを探っています。
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