2013年8月31日土曜日

爬虫類,侵入

 爬虫類が校舎棟に侵入していました。小型ですが。以前から階段の壁などで見たという目撃情報はありました。
ミイラ状態で干からびていました。(スケールは1mm)
ヤモリの子供でしょう。漢字では「守宮」。
夜間,虫を食べてくれるからでしょうか。
小判のような足の裏が決め手です(指下薄板)。
産卵は5-9月です。孵化時の温度で性が決まり,高温では雄が生まれます。
今年は記録的な猛暑でしたが。
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ニホンヤモリ
Gekko japonicus
トカゲ目ヤモリ科
絶滅危惧II類(東京,茨城),準絶滅危惧種(千葉,埼玉,群馬)
古い時代(平安時代とも)に大陸から渡来した外来種



2013年8月24日土曜日

ゲリラ豪雨の下で

 8月下旬になっても暑さは続き,時折ゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な大夕立に見舞われます。昨日の雨のあと,中庭に出てみました。
 ちょっとした緑の地面には地味な雑草(もちろん名前はあります)やコケ類が雨を楽しんでいるようでした。
目につくのは「セニゴケ」(Marchantia polymorpha)。人にはあまり好かれていないようです。
破れた傘のような,卵をつくる器官(雌器托)を持つ雌株(手前3本)と,縁が波打つ皿のような,精子をつくる器官(雄器托)を持つ雄株(奥の丈の低い1本)とがあります。水をなかだちに有性生殖をします。

また,ゼニゴケの本体(葉状体)にはお椀のようなもの(杯状体)がついています。中には多数の「無性芽」(体細胞からつくられた繁殖用の粒)が見えます。無性生殖もするので増えるはずです。
2013.08.24 Kunihiro Suzuki
雌器托の造卵器で受精すると受精卵は多細胞の胞子体になり,その中で減数分裂がおこり胞子がつくられます。写真の黄色い粉状のものが胞子のかたまりです。この胞子が発芽して植物体(葉状体)になります。
(2013.08.24 対物40倍 Kunihiro Suzuki)
 顕微鏡でのぞいてみると,コイル状の「弾糸」にからまった多数の胞子が観察されました。乾燥すると弾糸がバネのように胞子を飛ばします。
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 ゼニゴケは陸上植物でもっとも古い歴史を持つ仲間で,近年ゲノム解析が進み高等植物との遺伝学的な比較も可能となり,進化生物学の実験材料としての有用性も期待されています。



2013年8月12日月曜日

猛暑の中で

 記録的な猛暑が続いて,日本列島は気温40度を越す地域も。
直射日光の当たるアスファルトやレンガの温度は想像以上でしょう。
しかし、階段に張り付くように茎を伸ばしている植物に驚かされます。
コニシキソウです。
葉に濃い紫の斑紋が特徴。
北アメリカ原産。トウダイグサ科
Euphorbia supina
(2013/08/12 Kunihiro Suzuki) 
 葉の付け根を拡大。中央の白い花が雄花。紫の葯があり,下に5つほどの黄色い蜜腺。昆虫を誘います。雄花の上の膨らみは子房。中に種子があります。左が雌花で3つに分かれた柱頭を持つ。やはり蜜腺がある。
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  しかし、ここは極限に近い高温状態。植物でも脱水症状は致命的なはず。
この仲間の光合成は独特で,夜間にCO2 を取込んで液胞に貯蔵し,日中は気孔を閉じてデンプンを合成することで水分の蒸散を最小限にしています。(CAM型光合成)



2013年8月6日火曜日

原始の地球から

   原核生物は身近にいます。
もちろん,構内にも。たとえば...........


 銅像の台の黒っぽい汚れ
カリカリの海藻のようなもの
水で戻すと柔らかくなる。
食用にするところもある。
別名:イシクラゲ
Nostoc commune
(2013,08.06 対物40倍  Kunihiro Suzuki)
顕微鏡でのぞくと。数珠(じゅず)状の細胞の集合体
イシクラゲは原核生物。真正細菌(バクテリア)でネンジュモ科。
藍藻類,シアノバクテリアの仲間。
原始地球で光合成を始めた生物の末裔である。

2013年8月2日金曜日

セミの声

 夏休みの構内には季節の声がひびきます。
アブラゼミの鳴き声は,暑さを増幅させると感じるむきも多いようです。
全身こげ茶色の姿も,透明の羽を持つ種類にくらべると暑苦しいような...
アブラゼミ 
Graptopsaltria nigrofuscata
半翅目(カメムシ目)同翅亜目(ヨコバイ亜目)セミ科。
セミは横歩きをしますね。
 
詳細な3Dコピーのような脱けがら。
アブラゼミの死骸も拾いました。
眼は左右の複眼に加えて小さなルビーのような単眼が3つ、正三角形に並んでいます。
単眼は明暗を感じる眼で,その情報は脳内では複眼とは別の領域に入ります。
異なる機能を受持っているのでしょう。
複眼は形や動きを捉える眼で,古生代カンブリア紀の三葉虫にもありました。
視覚の発達は捕食ー被食の関係を際立たせ,生物の多様性を加速させたとする考えがあります。
アブラゼミは6年に及ぶ地下生活のあと,5つの眼でどんな世界を見たのでしょう。
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 東海地方以西に生息するといわれた「クマゼミ」Cryptotympana facialis 北関東から東北地方に北上していることが話題になり,温暖化の影響が指摘されています。朝からワシャワシャと鳴く,羽の透き通った大型のセミです。構内で聞いたことがありますか。