8月下旬になっても暑さは続き,時折ゲリラ豪雨と呼ばれる局地的な大夕立に見舞われます。昨日の雨のあと,中庭に出てみました。
ちょっとした緑の地面には地味な雑草(もちろん名前はあります)やコケ類が雨を楽しんでいるようでした。
目につくのは「セニゴケ」(Marchantia polymorpha)。人にはあまり好かれていないようです。
破れた傘のような,卵をつくる器官(雌器托)を持つ雌株(手前3本)と,縁が波打つ皿のような,精子をつくる器官(雄器托)を持つ雄株(奥の丈の低い1本)とがあります。水をなかだちに有性生殖をします。
また,ゼニゴケの本体(葉状体)にはお椀のようなもの(杯状体)がついています。中には多数の「無性芽」(体細胞からつくられた繁殖用の粒)が見えます。無性生殖もするので増えるはずです。
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2013.08.24 Kunihiro Suzuki |
雌器托の造卵器で受精すると受精卵は多細胞の胞子体になり,その中で減数分裂がおこり胞子がつくられます。写真の黄色い粉状のものが胞子のかたまりです。この胞子が発芽して植物体(葉状体)になります。
(2013.08.24 対物40倍 Kunihiro Suzuki)
顕微鏡でのぞいてみると,コイル状の「弾糸」にからまった多数の胞子が観察されました。乾燥すると弾糸がバネのように胞子を飛ばします。
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ゼニゴケは陸上植物でもっとも古い歴史を持つ仲間で,近年ゲノム解析が進み高等植物との遺伝学的な比較も可能となり,進化生物学の実験材料としての有用性も期待されています。