2016年2月29日月曜日

道ばたのナス

 グランド沿いの塀ぎわに,小さな白い花を見かけます。ナスの花に似て,よく見ると小さなトマトのような丸い実がついています。
丸い葉も鋸歯(きょし:ギザギザ)のある葉もあります。
「イヌホウズキ」 Solanum nigrum
ナス科 ナス属。大昔に帰化した植物です。
5枚の花弁は先端がうっすらと紫色に染まり,中央に黄色の葯(やく)が伸び出してめしべを取り囲んでいます。つぼみの先端も紫色です。
解剖しました。丸い子房から長い花柱が伸び,細い毛が生えています。先端は丸い柱頭です。葯に続く花糸にも細かな毛が生えています。
葯の先端と丸い柱頭には花粉が。自家受精なのでしょうか。
丸い実は野外ではそれほど光沢はありません。
緑色の実の中に白い小さな斑点が散在します。黒い実は熟したものです。
断面には種子のきれいな配列が現れます(背景のスケールは1目盛り1mm)。
熟した実の種子は表面に編目模様が明瞭でした。
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実にはソラニンという有毒物質が含まれます。
ホウズキとはいっても食用にはならないようです。


2016年2月26日金曜日

水槽を科学するーNature Seminar 13

 魚を飼う入れ物—水槽に注目してみました。
魚釣りとは違った楽しみがありそうです。
(ポスターの日付は訂正され,実施は2月26日・金です)
 水槽を設計し生き物を健康に飼うためには,「自然のしくみ」を知る必要があることからプレゼンが始められました。
水槽に入れる流木を入手し,形を決めていきます。
魚の種類を考え,ウイローモス,アヌビアス・ナナなど,それに合わせた水草を付着していきます。
水槽の底には敷き砂を入れますが,”ソイル”とよぶ土を焼成した粒子です。
種類によって水質維持や水草との相性などに特性があります。
住める環境にするには,糞などのアンモニアを硝化(アンモニア→亜硝酸→硝酸)して無害化するするバクテリア(ニトロソモナス,ニトロスピラ)を水槽内に繁殖させる必要があります。スライドでしめされたネオンテトラの仲間を”パイロット・フィッシュ”として先行導入します。その糞がバクテリア繁殖の餌になります。
パイロット・フィッシュは硝化の進んでいない厳しい環境にも耐えられる選ばれた仲間です。
参加者からも質問やコメントが。
マニュアルには無い裏技も紹介されます。
ナマズの仲間(オトシンクルス)をいれて,水槽のコケや藻を掃除してもらいます。
エビも藻などを食べて水槽の浄化に役立ちます(イエロー・チェリー・シュリンプ)。
完成です。好みの魚が水草の間を泳ぎます。
その後も水の交換や水質の維持に気を遣います。
セミナー後の懇親会。苦労話も失敗談も。
水槽作りは科学でした。
今回も楽しいレポートになりました。

2016年2月8日月曜日

研究発表:味と骨「生命の文化誌」

 生物学2の試験の後,「生命の文化誌」(選択科目)の2グループが研究発表を行いました。
「水耕栽培と味覚について」(菊池隆典・岸本瞳グループ)
水耕栽培で野菜を育て,与える肥料や環境で味に違いが出るかを初めのテーマにしました。しかし水耕栽培が失敗し,味覚について調べることになった経緯から発表が始まりました。よい経験をしたと思います。
試験直後にも関らず,熱心に聞き入ります。
味覚についての文献的な調査と数名の被験者に様々な食品の味を試してもらった実験について,会場からの質問にメンバーが答えました。
「ハクビシンの骨格標本作製」
(小島彩代・小原沢桃花・三枝美穂・能勢明グループ)
動物の骨格標本を作りたいと集まったメンバーです。
動物の遺体を入手することは法律や施設との関係で予想以上に困難なことが冒頭に話されました。
今回は楠瀬先生から提供された四国の「ハクビシン」が使われました。
解剖の過程から骨にするまでの手順が紹介されます。
ハクビシンの分類上の位置や歯の特徴が調べられていました。
細かい作業が紹介され,いろいろと工夫を重ねたことがわかります。
放課後の遅い時間まで第7実習室にメンバーの姿がありました。
複数の質疑応答がありましたが,獣医学講座での動物学実習が生かされていました。
教卓に置かれた骨格の完成標本が誇らしそうでした。
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手と眼と体を使って取組むことで得られる経験は確かな知識になります。
発表者はもちろん,クラスの仲間にも伝わったのではないかと思います。